50周年を迎えた、都筑区などの鳶職人で構成される「神港鳶職組合若鳶会(しんこうとびしょくくみあいわかとびかい)」会長 加藤 裕治さん 緑区在住 44歳
50年の伝統を胸に立ち向かう
○…「長い歴史ですよね。プレッシャーが重くのしかかっています」。都筑区など横浜北部地区の18歳から50歳代の鳶職人で構成される「若鳶会」の16代目会長を務める。区のお正月を彩る「都筑区消防出初式」での梯子乗りや、中区の「横浜開港記念みなと祭」のパレード参加など、横浜市内を中心に、50年間変わらない法被(はっぴ)姿で”日本の伝統”を伝えている。「誰でもできることではないから、やりがいがある」。
○…現在会員は17人。この10年で約半分に減少した。「規律が厳しい縦社会だからね、なかなか若い人が入ってくれない。だからといっていい加減なやつでは駄目だけれど」。会員増には、会の魅力を上げる必要も感じている。「一緒に活動することで、メンバーの絆が深まる。先輩から、後輩からも学ぶことは多い。成長の場として考えてほしい」と自身の経験から得たメッセージをおくる。他地区で活動する会との交流も盛んで、仲間が増えていくことは”財産”になっているという。
○…入会して20年以上が過ぎる。きっかけは当時の会長の勧誘だった。「3、4年ぐらいの間、誘われ続けた。最初は、何をやるのか分からなかったけど、いつの間にか、法被を着るのが当たり前になっていたよ」と振り返る。家族で会社を経営。日々、建築現場で主に家の土台づくりに取り組んでいる。ミリ単位で勝負する世界。一歩間違えば、欠陥住宅になってしまう恐れも。「肉体的な疲れは何ともないけど、精神的なものはこたえるね」と苦笑い。
○…『義理と人情とやせ我慢』。鳶職人に伝わる格言。この言葉を噛み締め、伝統の継承に当たる。「メンバーの集まりでも、自分の意見は抑え、一歩引いて見守ることが多い。辛くても表情に出さない、ぶれないことが、まとめる秘訣かな」。50年という歴史を胸に、先人たちから引き継がれた伝統を次の世代につないでいく。
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