16年7月26日――。県立の障害者支援施設「津久井やまゆり園」で発生した痛ましい殺傷事件から、1年が過ぎようとしている。本紙では生まれつき脳性まひ障害がある荏田東在住の田所淳さん(36)に事件後の生活や自身が思う共生社会などについて話を聞いた。
現在、荏田東のアパートで一人暮らしをしている田所さんは、スムーズな会話や細かい指先の動きが思うようにいかない。重度の肢体不自由者などが受ける重度訪問介護サービスを利用。ほぼ24時間、ヘルパーによる身体介護や家事援助、移動介助など、身の回りのサポートを受けている。室内では両膝を着いて四つんばいで移動し、外出時には電動車椅子で電車やバスに乗ることもあるという。
見花山で生まれ、5歳まで川和保育園で過ごし、その後市立上菅田養護支援学校に12年間通った。小学校時代は6年間、毎週土曜に荏田東第一小で同級生らと交流を深めた。「子どもの頃に遊びを通して障害者と触れ合うことでお互いの理解が深まる。大人になると壁ができる」と田所さんは考える。
実際に8年程前から田所さんは、鴨池公園まんまる広場で活動する「まんまるプレイパーク」に参加。自然の中での遊びや流しそうめんなどの季節イベントを通じ、幼児や児童との触れあいを大切にしている。「最初は近寄らなかった子どもでも徐々に慣れて『あっちゃん』と声をかけてくれる子が増えた」と笑顔で話す。
「変わっていない」
やまゆり園での殺傷事件から1年。自身を取り巻く環境などについては、「何も変わっていない」。数秒間の沈黙の後、「あのような事件はどこでも起きる可能性がある…」と吐露する。
健常者と障害者が共に生きる「共生社会」の実現は国の重要課題にも挙げられている。「(車椅子での外出時に)いつの間にか段差解消の板を置いてくれるような、心のバリアフリーを健常者、障害者がお互いに勉強する必要がある」
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