横浜市では、LGBTなど性的少数者(注)や事実婚のカップルをパートナーとして認める「横浜市パートナーシップ宣誓制度」(仮称)を年内にも導入する見通しだ。開会中の市会定例会で林文子市長が明らかにした。
パートナーシップ制度は全国26都市で実施されており、県内では横須賀市と小田原市が導入している(9月10日時点)。横浜市は、市の内部事務の取り扱いを定める「要綱」を制定して制度を運用する考えで、法的権利や義務は発生しない。
9月13日の市会常任委員会で示された現段階の制度案によると、対象は双方または一方が性的少数者や、事実婚のカップル。宣誓書の提出を受けて受領証を交付し、必要に応じて携帯用の受領証明カードも発行するという。受領証は、市営住宅の申し込みに利用できないか検討を進めている。また、同性カップルなどが病気になった際にパートナーの病状説明を受けられないなどのケースがなくなるよう、病院にも活用を呼びかける考えだ。
性的少数者に限定せず事実婚も対象とした理由について市人権課は「女性が男性の籍に入ることが当然という社会の風潮のなか、婚姻の届出をしないなど様々な事情で悩みや生きづらさを抱える方々のために制度を実施したい」と説明する。
「行政の意思表示に意義」
市は性的少数者が孤立しない環境づくりのため2015年、全国の自治体に先駆けて交流スペースを男女共同参画センター横浜(戸塚区)内にオープン。同年には青少年相談センター(南区)での個別相談も始めた。現在は交流スペースと個別相談を市内4カ所で毎月開いている。市では同制度も検討を続けてきたとして、年内導入を決めた。
2002年から性的少数者の支援を続けるNPO法人SHIP(神奈川区)の星野慎二代表は導入について「行政が性的少数者を公的に認める意思を示したことに意義がある」と評価。また、国内最大の市区町村の横浜市が導入することで「他自治体に波及するのでは。ゆくゆくは法律化につながるような動きが出てくれば」と期待していた。
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