局地的な大雨が増える中、下水処理が追い付かず水路等から水が溢れる内水(ないすい)氾濫に備えようと、横浜市はこのほど「内水ハザードマップ」を約7年ぶりに改定した。想定降雨量の増加で市全体の浸水想定面積は約5倍に増加。専門家は改定を評価しつつ、「リスクを把握し日頃から備えを」と警鐘を鳴らす。
マップは大雨時にマンホールなどの水路から浸水が想定される区域や深さ等の情報をまとめたもの。道路冠水や床下浸水相当など、地盤の高さや地形等によって危険度は変わるが、浸水区域は市内全域に分布している。
従来のマップは2004年に観測された時間降雨量76・5mmを対象に作成していたが、19年に市内観測史上最大の100mmが記録されるなど状況の変化もあり改定に至った。改定版では過去に関東地方で観測された153mmを最大規模の降雨と想定して作成。都市の浸水対策に詳しい東京大学大学院工学系研究科の古米弘明教授は「最大規模の豪雨を想定して改定したことは住民に正しく水害リスクを確認してもらい、避難を促す上で大切」と評価する。
今回の改定で市全体の浸水想定面積は従来の約5倍に増加。市の担当者は「海や河川と離れていても浸水の恐れがある。マップで自宅周辺のリスクを把握し、備えてもらえたら」と話す。マップは市HP等で公開しているほか、印刷物を今年度は神奈川区と金沢区、残り16区は来年度に全戸配布する。
市内の下水道は国の答申に基づき、地盤の低い区域は時間降雨量約60mm、高い区域で約50mmに対応できるよう整備を進めているが、今後起こりうる大雨に排水能力が追い付かない可能性がある。市は予算や用地の問題から整備水準を今すぐ上げることは難しいと説明し、排水ポンプ車導入などソフト対策を進めている。古米教授は「都市の下水道は地中にあるので内水氾濫のリスクが見えづらい。そして、その排水能力にも限界があるので、自分たちでできる対策を考えて、日ごろから備えておくことが大切だ」と呼びかけている。
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