語り継ぎたい物語がある--。市内在住の女優、五大路子さんら「横浜夢座」による朗読劇『奇跡の歌姫-渡辺はま子』が3月25日に横浜市歴史博物館で開かれる。主催はNPO法人都筑文化芸術協会(金子進会長)。来年で都筑区制30周年を迎えるプレイベントとして企画。戦争に翻弄されながらも歌声で世の中を動かした大歌手の人生を通じて、戦後77年の今、平和の尊さを呼びかける。
渡辺はま子さんは明治43年、横浜で生まれた。音楽学校卒業後に横浜高等女学校で音楽教師になるも、歌手デビューを果たす。「シナの夜」や「蘇州夜曲」など中国を題材とする曲を数多くヒットさせ「チャイナ・ソングの女王」とも呼ばれた。戦中は戦地の慰問活動も積極的に行っていたという。
ただ、歌手活動を続ける中、心にあったのは国威発揚の一翼を担ったのではないかという葛藤。終戦を中国大陸で迎えると、現地に留まって歌声で日本兵捕虜を支えたという。
帰国後、福祉や社会貢献活動にも取り組む中、フィリピンで日本兵捕虜が作った歌「あゝモンテンルパの夜は更けて」の存在を知ると、自らの歌声でレコーディング。こうした活動がフィリピン大統領の心を動かし、108人の日本兵捕虜の救出につながった。
戦争に翻弄された渡辺はま子さんは平成11年に89歳で他界した。死後、この「奇跡の歌姫」の生き様に感銘を受けたのが、「横浜夢座」を1999年に旗揚げして横浜にまつわる歴史や人をテーマに舞台を作り上げてきた五大さん。
「私と同じ横浜に住んでいた人が歌によって人々の命を救ったことを知った。私たちが演じ、歌うことによって今の日本の人たちに何かを感じてもらいたい」
五大さんは2001年、この史実をもとに舞台化。長きにわたり再演を繰り返してきた。
ただコロナ禍で大掛かりな舞台は中止に。そうした状況の中、脚本を手掛ける作家の山崎洋子さんの後押しもあって、俳優が物語を語るドラマリーディング作品に仕上げた。
渡辺はま子さん役を演じる五大さんのほか、「横浜夢座」の高井清史さんと高橋和久さんが出演する。脚色はあべゆかりさん。音楽は後藤泰観さんが手掛ける。
会場は横浜市歴史博物館(センター北駅徒歩5分/中川中央1の18の1)の講堂。午後2時開演、3時15分から「五大路子と語ろう!」(1時30分開場)。
五大さんは「映像ではなく、生の音楽、生のささやきは見ている人の心に響かせることができるはず。都筑区から日本へ世界へと思いを発信していきたい」と話す。
50組を無料招待
主催する同NPOでは小学生以上の都筑区民を対象に先着順でペア50組を無料招待する。
申し込みは郵便番号・住所・氏名・連絡先を記入の上、ファクシミリにて金子保商事(【FAX】045・943・5080)へ。
本をプレゼント
都筑区内での公演を記念して同NPOでは直筆サイン入りの五大さんの著書『横浜ローザ、25年目の手紙』(有隣堂)を読者5人にプレゼント。
希望者は〒・住所・氏名を記入の上、〒225-0014横浜市青葉区荏田西2の1の3(株)タウンニュース社「五大さんの本」係へ。3月3日消印有効。※当選者の発表は本の発送をもって。個人情報は発送のみ使用。
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