川和町の横浜市認定歴史的建造物「中山恒三郎家」が11月26日(日)に一般公開される。午前10時から午後3時まで。見学は無料。
今回、内部公開されるのは1890(明治23)年に接客施設として竣工された書院。2016年に現在地に曳家された。桁行4間梁行2間半の主体部の周囲に、半間の下屋を廻らせる構造になっている。明治以来、角界の賓客を迎えた中山家の歴史が偲ばれる書画や、中山恒三郎商店の名が入った醤油皿なども展示される。
諸見蔵では、民俗資料に加え、市歴史博物館の学芸員の整理作業も公開される。そのほか店蔵や麹室、八号蔵の外観も見学できる。
現当主の中山健さんは「来てよかったと思える場所にして地域の活性化に貢献できれば。公開は定期的に続けていきたい」と話す。将来的には、現在進行中の資料の整理を進め、一番古い建物と伝わる店蔵も公開していきたい考えだ。
中山恒三郎家の所在地は都筑区川和町890(市営地下鉄川和町駅徒歩10分/川和団地下バス停徒歩2分)。駐車場がないため、公共交通機関の利用を。
菊園としても著名
中山恒三郎家は江戸時代から川和町で酒類の販売のほか、荒物雑貨や呉服織物を扱う商売を手がけ、栄えてきたという。明治時代には醤油の醸造、煙草や塩の販売、製糸業なども行い、昭和初期には都筑郡内一の豪商といわれた。
また菊栽培にも力を注ぎ、明治末期には1500種の菊を栽培したと伝えられる。自宅に菊園「松(しょう)林圃(りんぽ)」を作り、観菊会を開いては皇族や各界の著名人から注目を集めたという。だが第二次世界大戦の影響で中山家の菊は途絶えてしまった。
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