地震をはじめ、台風や豪雨による自然災害の際、地域の避難所として想定される小中学校の体育館だが、空調設備の設置など、猛暑対策はまだ緒に就いたばかりだ。最高気温が35度を超える猛暑日の日数が過去最多を記録した今夏を踏まえ、市は市立校全校体育館への設置「加速化」を検討している。
学校教育が大前提
市内の市立校は全部で505校(小学校336、中学校144、義務教育学校3、高校9、特別支援学校13)。そのうち459校が指定避難所となっている。
このようにいざという時に避難拠点となる学校だが、市総務局危機管理・地域防災課は、「学校はあくまでも教育施設。学校再開時のことを考慮すると、校舎よりも体育館が避難所になる」と話す。空調設備が整っている校舎を避難所として利用することもあるが、障害など配慮の必要な人などを優先することが想定されるという。
計画は10年程度
空調設備は、【1】高速道路に面するなど窓を開けるのが難しい、【2】体温調節が難しい児童・生徒がいる、【3】建物構造上通風が悪い、などの学校を優先的に設置。また児童数の多さなども考慮している。体育館の新改装を予定している学校では、工事の際に同時に設置している。費用は1校当たり約5000万円で、工期は4〜5カ月を要する。今年度は21校(1校は来年度完了)で設置を予定しており、完了すると116カ所(22・97%)、指定避難所の学校では105カ所(22・87%)となる。
市教育委員会教育施設課は、体育館には地域の避難所として必要な機能が求められていることは承知しつつも、「空調設備の設置は、あくまでも児童・生徒たちの快適な学習環境の確保が最優先。そうでないと指定避難所になっていない学校が後回しになってしまう」と理解を求めた。
体育館への空調設備設置は、2020年度から本格的に進められており、横浜市教育委員会では「10年程度」で全校に設置する計画を示している。ただ、最も暑い8月だった今年の猛暑を受け、山中竹春市長は、現在開会中の市会での一般質問に答える形で、現在検討を進めている地震防災戦略の中で、早期の整備は必要不可欠との観点から「さらなる加速化を検討する」と語っており、前倒しの可能性を示している。
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