横浜市はこのほど、65歳の市民のがん検診を無料化した。同年代を境に受診率が下がっていることが背景。市は退職などで会社での受診機会がなくなることが原因の一つと分析し、無料化を機に「がん検診を習慣づけてもらいたい」と話す。
がんは年齢を重ねるごとに罹患リスクが高まるとされ、日本でも高齢化に伴いがん全般の罹患者数が増えている。早期発見・治療が基本対策となるが、そのために重要となるのが検診だ。
横浜市ではこれまで70歳以上を対象にがん検診の無料化を実施していた。しかし2022年国民生活基礎調査では、横浜市民の胃がん検診の受診率(男性)は50〜64歳は58%を超えるが、65〜69歳で52・3%と約6ポイント減と大きく受診率が落ち込む。70歳以上は半数以下となっており、リスクが高まる高年齢層ほど受診率が下がる傾向となっている。
約4万人が対象
横浜市では、勤務先の会社などで検診を受けていた層が、定年退職を機に会社での受診の機会がなくなることも影響していると分析。そこで、前期高齢者に入るタイミングで定年の場合が多い65歳(4月1日時点。該当年度に66歳になる人)を対象に無料化を実施する。対象は、胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がん・前立腺がん(大腸がんは19年から40歳以上が無料)の検診。対象となる約4万人には、9月26日から順次、指定医療機関で使える「無料クーポン券」が発送されている。有効期限は25年3月31日。
厚生労働省では、受診率60%以上を目標とするが、横浜市の受診率(胃がん)は50・2%(22年)。市の担当者は、「がんのリスクが高まる年代でもあり、勤務先を退職する年代でもある65歳を無料化し受診を促進することで、定期的にがん検診を受ける習慣をもっていただきたい」と話し、「まずは6割を目標に、数字を上げていきたい」と話す。無料化は次年度以降も実施予定。
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