横浜市は、15歳未満の病死原因で最も多い「小児がん」の患者支援のため、ITを駆使した取組を推進している。昨年からは「メタバース」を利用した患者同士の交流機会の創出を、今年は初の啓発動画の配信も開始した。市はこれらの取り組みを通じ、患者や家族の現状に対する理解促進を図りたいとしている。
小児がんとは、15歳未満がかかるさまざまながんの総称。主に白血病や脳腫瘍などがある。子どもの病死原因第1位だが、医療の進歩により、近年では、り患しても7〜8割は治癒が望めるという。国立がん研究センターが昨年公表した調査結果によると、小児がんにおける10年後の生存率は白血病患者で86・6%、脳腫瘍患者で71・7%となっている。
り患数の少なさも小児がんの特徴で、「希少がん」とも呼ばれている。横浜市がん・疾病対策課によると、全国で新たに小児がんと診断された人は2018年が2094人、19年が2117人、最新の統計という20年が2080人。市内でも18年が41人、19年が58人、20年が49人となっている。
中澤佑二さん協力で初動画
り患数の少なさから、小児がんは「成人のがんと比べて社会の理解が不足している」と同課。そこで市は近年、理解促進に向けITを活用した取組を進めている。昨年8月、治療の副作用による外見の変化などを気にせずに患者同士が交流できる場を創出しようと、市はインターネット上の仮想空間「メタバース」の活用を試行。開催した交流イベントでは、患者や家族らが自身の分身である「アバター」を利用して会話を楽しみ、交流を深めた。市は「来年度も実施できれば」としている。
また市は、横浜F・マリノスで活躍した中澤佑二さんの協力で、啓発動画を初めて作成。小児がんの治療を受けた市内の子どもが「闘病中に辛かったこと」などを語る動画で今年1月、市公式YouTubeチャンネルで配信を開始した(30年1月まで配信予定)。同課の担当者は「患者や家族の現状を知り、自分には何ができるのかを考えていただくことにつながれば」としている。
都筑区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|