デビュー作『ヨコハマエスケープボーイ』を上梓した 川越 喜右衛門さん 仲町台在住 61歳
暮らしを「想像」し、「創造」
○…背景音楽が流れる自室には、本やレコード、車の模型などがずらりと並ぶ。「小さな頃から音楽や本が好きだった」と話す表情は少年のままだ。上梓したデビュー作は「特に同世代の人たちに読んでもらいたい」と熱い眼差しを向ける。現在は、電子書籍化や作品の内容をもとにミュージシャンに楽曲提供を依頼するなど、話題作りに奔走。続編の執筆に向けても、肩を回している。
○…1枚の古いハガキをきっかけに、物語が発展する本作。作品の着想は16歳の頃の自分。関節に腫れや痛みを伴う「乾癬性関節炎」を患った。「少しずつ痛みが増して。今では1日の4分の1は病気との闘い」と話す。年齢を重ね、仕事の引退後にやりたいことを考えていた時、「病気にならなかった16歳の自分を描いてみよう」と執筆を思い至った。「完成した瞬間は昇華されたような気分だった」と、清々しい表情を見せる。
○…普段は不動産関連の広告業を営む。「人の生活に興味があった」と志した動機を明かす。「『駅からマンションまで徒歩何分』などの情報を作る際には、利用する人の生活を想像する」と楽しげに笑う。著書では、若者たちの生活の中に起こる不思議な出来事が巧みに描かれており、暮らしの「想像」が、作品の「創造」に活かされている。
○…横浜を舞台に描いた本作。自身も約20年前から横浜で暮らす。「横浜は開港の街で異国の文化が色濃く残っている。そういう文化の側面を表現したかった」と話す。仲町台には約6年前から暮らしており、「自然が豊かでいい街」と魅力を語る。「地域の方々にも、『近所の作家』が書いた本として、気軽に手に取ってほしい」と呼びかけた。
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