全国的に夏以降の自殺者増が報じられているが、横浜市でも8・9月は対前年同月比でプラス計17人で増加傾向にあることがわかった(警察統計暫定値)。中でも若年層の割合増が目立つ。市は国の状況を踏まえつつ、引き続き留意が必要としている。
市内自殺者は5、6月は前年と比較して少ない状況にあったが、7月から増加傾向に。8月は45人(前年同月比10人)、9月は38人(同7人)となった。国の分析でも同傾向がみられる。
年代別にみると、今年9月までで20代の自殺者は44人で、昨年1年間の42人をすでに超えた。また、40代は56人で前年比で増えている状況がある。市担当者は「全体数が少ない市の数字だけでは一概に言えないが、国の状況を見つつ対応する」と話す。
人口動態統計で近年の自殺者数は減少傾向にある中、20歳未満、20代の自殺死亡率は下がっていない。市は若年層対策の推進を重点施策の一つに掲げ、相談体制の充実や学校や家庭、地域でSOSを受けとめる取り組みを推進してきた。
また、昨年12月からインターネットなどを活用した相談支援を開始。検索連動広告を活用した自殺予防の相談活動を行うNPO法人OVA(東京都)に委託し、検索エンジンで自殺要因に関わるキーワードを検索すると、相談窓口を表示し支援につなげる事業を実施している。同法人が受ける相談は10代〜30代の若年層が約8割で、20代が最も多いという。市内相談件数も開始から9月までで、20代が約4割(119件)と最多だった。
相談内容は、家や学校、職場での人間関係や労働問題、夫婦関係、生活困窮など多岐にわたる。伊藤次郎代表理事は「多くの方が様々な問題を複合的に抱えている中で、共通するのは”孤独感”を感じている人が大半ということ」と指摘する。市担当者は「多様な悩みがある中で、様々な相談の入り口があることが大切だと認識している。ネットはいままでアプローチしにくかった人や年代に届く手段のひとつ」としている。
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