横浜市は7月1日以降の利用分から水道料金を改定する。20年ぶりの改定で、平均12%の値上げ。背景には事業を支える水道料金が年々減少する一方、設備更新や耐震化にかかる整備費が増加していることがある。
利用者から支払われる水道料金をもとに成り立つ水道事業。横浜市では事業の収入全体の約8割を水道料金が占めるが、2001年度の約789億円をピークに、節水機器の普及などから19年度には約694億円まで減少。この状況が続くと、設備更新の資金などとして積み立てる累積資金残額が20年度の約167億円から減少し、29年度には約618億円不足する見通しとなっていた。
一方、市内には高度経済成長期に整備した水道設備が多く、現状で市水道局が管理する水道管の耐震化率は全体の約3割。今後も計画的な更新や耐震化が必要で、300億円台を推移していた施設等整備費が、今後は400億円以上必要になるという。
これまでも事業の見直しや人員削減などによって経費削減を進めてきたが、こうした資金確保のために料金改定に踏み切った。市水道局担当者は「経営努力などでしのいできたが、非常に厳しい状況。安定的に水を供給していくためにご理解いただければ」と話す。
今回の改定では給水管の口径毎に基本料金を決め、使用量に応じて従量料金を加算。利用者の約99%を占める口径13〜25mmの平均的な使用水量で月額111〜235円の引き上げで、9月の検針分から適用される。
また、入浴料が法令で決められている公衆浴場に対しては、できる限り負担にならないように配慮し、一般用とは別で利用実績に応じた値上げ額を決めた。金沢区内の浴場経営者は「今後を考えれば仕方ないが、家庭同様では立ち行かない店も出てしまう」と話す。
市は新型コロナウイルスの影響で支払いが困難な場合に、料金支払いを猶予する制度を実施。今年5月末までに2229件受け付けた。詳細はサービスセンター【電話】045・847・6262。
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