横浜市は、市立中学校のクラス以外の校内別室で不登校生徒などの居場所となる「校内ハートフル事業」の全校実施計画を前倒しし、9月から開始予定だ。20年3月に市立中学2年の女子生徒がいじめを理由に自殺した「重大事態の調査結果」を受けての対応。
24年3月の調査結果には、クラスでの孤立感から不登校になった経緯などが記されており、市は不登校になる前の支援策として、教室とは違う安心できる場所、校内ハートフルの全校実施を決めた。当初、昨年度の55校に25校を追加した80校での実施予定だったが市教育委員会担当者は「一人でも多くの生徒が校内の安心して過ごせる居場所で孤立させないため前倒しした」と経緯を話す。
2500人規模
校内ハートフルは、生徒本人や保護者の思いを聞いた上で、中学卒業期の長期目標などを定め、個別指導やオンライン学習、個に応じた学びを提供する取り組み。学校課業日の平日週5日、支援員が常駐し、生徒一人ひとりにあった支援方法、社会的自立を二人三脚で目指していく。
市は20年度に8校で導入。1年間で116人の利用があった(1校平均14・5人)。21年度は20校で356人(1校あたり17・8人)、昨年度は55校で942人(同17・1人)で、21〜23年度の3年間は1校平均17人台で利用が推移。全校で実施の場合の利用者見込みは約2500人で市立中全生徒の約3%になる。
「半分学校で半分家」
港南区の日野南中では昨年度から同事業を開始。机や椅子のほか、個室ブース、休憩スペース、本、ボードゲームなどもあり、「半分学校で半分家」と支援員は話す。利用する生徒が希望した高等学校に進学できるなど「保護者からも喜ばれることも少なくない」という。同校では現在、9教科の授業を個別に受ける体制が整備されている。
市担当者は「9月以降、各校の事例共有や、支援員、担当教員などの情報交換を通じ、事業の質向上に努めていきたい」と話した。
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