第59回神奈川県美術展「工芸」の部で大賞を受賞した 鷲野 愛未さん 区内在住 31歳
鳥の魅力で木の良さ表現
○…作品を出品した時点で、家族からは「大賞でしょう」と太鼓判を押されていた。家族の予想通りの受賞に「嬉しかった」とはにかんだ。「好きにやらせてもらっているので家族の支えは大きいです」と感謝の言葉が自然と口をついて出た。
○…デザイナー会社を営む父は、幼少の頃から「寄木細工を観に、家族で箱根へ旅行に連れて行ってくれたり、バルサ材や竹を使って熱心に工作をしてくれた」と振り返る。思い出の寄木細工は大賞を受賞した今回の作品に取り入れている。工芸や工作の楽しさに触れた環境もあり、中学の頃には東京藝大への進学を意識するように。大学でさまざまな素材を使って制作を続ける機会に恵まれ、「身近で触れると癒されるから」と3年時から本格的に木工作品の道に進んだ。卒業制作では125種類の木を使い「木の見本帳」のような引き出しを作るなど、木の魅力にはまっていった。
○…コロナ禍で散歩くらいしかできなかった時期をきっかけに、鳥をモチーフにした作品を作るようになった。木そのものの素材や色を上手に活かした作品が評判を呼び、昼の情報番組では「鳥専門の作家」として紹介された。作品制作時は没頭して「鳥瞰」では中々見られない。完成して数日後、自分の作品を見て「『あっ、(本物の)鳥がいる!』と思ってしまうことも」と明かした。
○…昨年4月から母校で研究助手を務める。現代アートを専攻する学生たちと接し、「分野は違うが、『私も作品作りたいなぁ』」と刺激をうける。コロナ禍がきっかけだった散歩は、今でもリラックスできる時間。徳生公園やくさぶえのみちなどがお気に入り。「何も考えずに歩いているつもりですが、つい鳥に目がいってしまいますね」と空を見上げた。
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