横浜市はこのほど、根岸住宅地区跡地利用基本計画案と横浜市立大学医学部・附属2病院等の再整備構想案をまとめ、11月30日(月)まで意見募集を行っている。
根岸住宅地区は中区、南区、磯子区にまたがる約43haの米軍施設。2018年の日米合意で返還が現実的になったことを受け、市は返還後の跡地利用の基本計画策定に着手。地権者らから成る「米軍根岸住宅地区返還・まちづくり協議会」が17年に作成した案を踏まえ計画案をまとめた。
具体的な土地利用計画としては、跡地を「文教」「住宅地等」「森林公園」の3地域にゾーニング。約15haの文教ゾーンは、市大医学部と市大附属病院(金沢区福浦)、市大附属市民総合医療センター(南区浦舟町)を再整備する最有力候補地となっている。
市立大学医学部と市大附属2病院は建設30年以上が経過。施設の狭あい化・老朽化に加え、診療圏や設備投資・管理部門の重複、研究・教育面から見た病床数の不足などの課題を抱えている。市は最先端の教育や世界レベルの研究、横浜の医療をけん引する総合医療拠点を目指し、再整備を検討。その中で、立地や広さなどの条件が根岸住宅地区に合致し、候補地に浮上した。再整備案では大学病院としての診療・教育研究機能を1病院に集約するほか、将来的な医療需要を踏まえ病床数を1000床程度を基本とすることが示された。なお、2病院の跡地は地域で求められる医療・福祉ニーズを踏まえ、必要な機能を確保することを基本としている。
交通などの課題も
案を進める上での課題は交通や土地基盤、防災だ。根岸住宅地区は周辺の鉄道駅から1Kmほど離れた高台に位置するため、公共交通の導入が不可欠だ。また、最大傾斜60度のがけ地の安全対策や広域避難場所の機能確保が検討材料としてあがる。さらに、約180人の地権者が持つ民有地が入り組んで存在するため、土地活用まで長い期間がかかる懸念も残る。
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