神奈川の名工と称される「神奈川県卓越技能者」に選ばれた和裁士で、県和服裁縫協同組合の理事長 及川 伊東志さん 白根在住 66歳
針で紡ぐ、人の笑顔
○…技能を用いる職業に25年以上従事し、優れた技術で県内の第一人者と目される「神奈川県卓越技能者」に選ばれた。「一生懸命やってきてよかった」と顔を綻ばせる。高校卒業から45年、和裁一筋に精進。数多くある着物をほぼ全て仕立てることができ、綿入れ物や相撲の呼出しが身に着ける裁着(たっつけ)袴、様々な形の襟など、限られた和裁士が手掛ける技術を有する。「お客様から『及川さんに仕立ててほしい』と言われるのが喜び」。
○…新聞奨学生として高校入学を機に上京し、妙蓮寺(港北区)の店舗に下宿。配達先の顧客が和裁で黄綬褒章を受章したと新聞で知り、手に職を付けたいと入門した。「大学進学も考えたが、悪天候だと大変な新聞配達を続けるのが嫌で」。高校卒業後から住み込みで襦袢や浴衣などの基礎から学び、朝7時から真夜中まで「縫って縫って縫いまくる」毎日を過ごした。4年間の修業を経て独立後は、和田町(保土ケ谷区)の小さなアパートに道具を揃え呉服屋を何軒もまわり仕事を得た。「それから45年針で紡ぐ日々に感謝です」
○…岩手県出身、8人兄弟の7番目。幼少期から山が好きで山菜採りやイワナ釣りを楽しんだ。小学校高学年の時にはフキを学校に持っていくと買い取る制度があり、「自宅近くで熱心に採っていたら気付くと夜の真っ暗闇で家族に心配された」と笑う。中学では音楽好きを発揮し吹奏楽部でチューバを担当。県大会で優勝し東北大会出場の快挙も成し遂げた。
○…県和服裁縫協同組合理事長を務め2期目。全国の和裁士がさらに技を磨くための講習会を開催するなど技術継承にも尽力する。座右の銘は「忍耐と努力」。自身の培ってきた経験を次世代に受け継ぎ、和裁を絶やさない役目を邁進する。
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