企業などでの障害者の一般就労を促進しようと、横浜市で初めての取り組みとして、7月から職業体験・見学会が行われた。対象は障害福祉サービス事業所等(障害福祉事業所)の利用者。業務体験や現場見学により、当事者が企業で働くイメージ作りをするきっかけとなることを目指す。
障害者雇用については、法律により民間企業の雇用率が2・3%に定められている。神奈川県内の民間企業の実雇用率は、2022年6月1日時点で2・20%。年々増加傾向だが、法定雇用率には届いていない状況だ。
横浜市では障害の有無に関わらず、希望に合わせた働き方を選択できる社会を目指し、就労ニーズに合わせた施策を展開。障害福祉事業所で働く福祉的就労の充実と合わせ、障害者就労支援センターを中心に民間企業での一般就労の促進も図っている。過去には障害福祉事業所の職員向けに、障害者雇用を行う企業での業務体験を実施。一般就労を目指す利用者の指導へ生かしてもらっていたが、利用者自身が体験できないことで働くイメージを持ちづらく、実際の雇用まではなかなかつながっていなかった。
市内10社が受け入れ
そこで、市は障害福祉事業所の利用者向けの見学・体験会を今年度初めて企画した。市内の就労継続支援A・B型の事業所を対象に参加を募ると、34事業所が応募。調整の末、23事業所から約70人の利用者と職員が参加。社会福祉法人や建設会社など受け入れを表明した市内10社で、7月6日から8月9日にかけて見学・体験会が実施された。
7月12日には横浜市立大学=金沢区=で行われ、市内の2事業所から利用者と職員計4人が参加した。利用者らは構内の清掃や事務作業など、障害者雇用での業務を見学し、一部を体験。利用者の一人は「普段と清掃のやり方が違ったけれど、楽しくできた」、職員は「企業で働く実際の状況や、そのために必要なことなどが分かった。こういった機会はありがたい」と話す。
想定以上の応募があったことから、市では次年度以降も継続していく方針。市健康福祉局の担当者は「就労は社会参加や自立にもつながる。障害の有無に関わらず、誰もが活躍できるフィールドが広がれば」と話した。
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