上白根町の県立横浜旭陵高校(大野俊世校長)では、昨年度から生徒の自己肯定感を向上させ、自死を防ぐことを目的にした取り組みを続けている。今年度は夏休み期間中に、教員らが桜美林大学の小関俊祐准教授から「認知行動療法」に関する講習を受け、授業への取り入れ方を模索した。
「認知行動療法」はストレスなどの影響で物事の考え方や捉え方が狭くなったり固くなったりした際、自由に考えたり行動したりするのを手助けする方法。8月の講習を経て、10月に実際に教科の異なる複数の教職員による指導を取り入れた授業を実践。10月24日には美術教科に国語の要素を取り入れ、「絵の力・言葉の力」をテーマにした実践授業の様子が公開された。
自分の感情を客観視
授業で生徒たちは資料の中から絵を1枚選び、絵から得られる感情を表す言葉を選択。国語科の澤口真理さんは感情を表す言葉として「ヤバイ」を例にあげ、「『ヤバイ』は一言で喜怒哀楽全てを表現できてしまう。でもよりピッタリくる言葉を探して」と投げかけた。また自身がマイナスな気持ちになった際の様子を図形や天気、色などで表現。さらにそれをプラスに変える言葉を考えさせ、イラストと一緒に描きカードを完成させた。
澤口教諭は「漠然とした気持ちを言語化することで、自分の感情を客観視でき、相手に自分の気もちを伝えられる。そうすることで自死など突飛な行動を防げるのでは」と期待を込めた。
美術科の石村実教諭は「生徒たちは意外と普段通りに対応してくれた。言語化することは難しかったと思うが、思った以上に反応はよかった」とコメント。「言葉と絵が結びつくと考えられない力を生む。落ち込んだ時は理屈だけで考えず、芸術や音楽を楽しむ気持ちを持って欲しい」とエールを送った。
授業を受けた女生徒の一人は「これまで自分が困った時のことを客観的に考えたことはなかった。新しい自分を見つけられた気がする」と振り返った。
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