2023年10月7日から続くイスラエルのパレスチナ自治区ガザへの攻撃について、即時停戦などを求め、特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(以下、JVC)が、相次いで記者会見を行っている。会見の席で司会を務めているのが、JVCの広報担当で、旭区在住の並木麻衣さん(39)=関連に人物風土記。先の見えない状況の中、大学時代に現地への留学経験を持つ並木さんに、今の思いなどについて話を聞いた。=2月16日起稿
停戦と人道支援
並木さんが勤めるJVCは、アジア、アフリカ、中東など、武力紛争や差別、分断など社会構造の暴力を受けている市井の人々の支援と社会への提言を行なっている国際NGO(非政府組織)の一つ。並木さんは2013年7月にJVCに入社。19年から広報担当になっている。
JVCは10月7日以降、他のNGOをはじめ、多くの団体に呼びかけ、共同で即時停戦を求める行動を行っており、並木さんはその窓口を務めている。
並木さんは「現地の状態が緊迫する中、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への資金拠出一時停止で、状況がさらに悪くなるのは目に見えている。とにかくできることは何でもし、即時停戦と人道支援をしてほしい」と訴えた。
歯がゆいジレンマ
並木さんがパレスチナ問題について関心を持ったのは、高校2年生の時に起きた「9・11」(アメリカ同時多発テロ)だった。「さまざまな対立や紛争状態が中東地域で続いていたのはメディアで見ていたが、自身が何も知らないことに気づいた」(並木さん)ことをきっかけに、アラビア語の勉強を始めた。大学でもアラビア語を専攻。パレスチナ、イスラエルへ留学も果たしている。
JVCに入社後は、アラビア語が話せることからパレスチナ担当に。14年夏に50日間続いたガザ侵攻後には、現地の支援にも入っている。2000人以上の死者が出た攻撃で、以前訪れた街はがれきの山に。現地の人から支援に対する感謝を伝えられた一方で「なぜ街ががれきになる前に停めてくれなかったの」「なぜ占領され、封鎖されていること自体を変えてくれないの」と憤りの声を浴びせられたという。
「人権侵害などを含め、本来は政府が解決すべきパレスチナの問題を、紛争後に入る国際支援が、ある意味肩代わりをしてしまい、問題が見えずらくなっている部分があるかもしれない。支援はもちろん必要だが、そもそも『この問題っておかしいよね』と声を上げていかないと、現地の人たちを裏切ることになる」。並木さんは大きなジレンマに歯がゆさを感じながら、それでも声を上げ続ける。
「諦めない」
ガザを訪れたのは19年2月が最後。「機会があれば行ってみたいが、私の知っているガザではなくなってしまった」と嘆息。街中不発弾だらけで、略奪も横行しており、決められたルート以外、外国人が歩ける状態ではないという。
絶望的に見える状況だが、「諦めない」と力強く言い切る。奴隷解放や公民権運動など「無理だと思われた歴史上の多くの事柄も沢山のエネルギーが合わさり成し遂げられた。自分が発信することで、心が変わる人、声を上げる人がいるはず。その人が輪を広げ、関わる人のエネルギーは増えていく。今はそれを信じてやるしかない」
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JVCは募金による寄付の他、不要になったはがきや切手、余った外国の紙幣やコインなどの提供も受けつけている。詳細はWebサイト(「JVC モノを送る」で検索)またはJVC東京事務所【電話】03・3834・2388へ。
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