元日に発生した能登半島地震を受け、区内からも現地に出向き支援活動に従事した人が多くいた。今回は、一般財団法人横浜市薬剤師会の一員として活動した日向彰さん(49)=旭区薬剤師会会長=と横浜薬科大学=戸塚区俣野町601=の教授である金田光正さん(58・東希望が丘在住)に、現地での活動について聞いた。
足元悪い中出動
日向さんは市薬剤師会の災害対策委員長として、災害時の出動が規定されていた。1月11日から現地で活動する第1陣として、1月8日に急きょ、同会から災害派遣の要請を受けた。日向さんの被災地での活動は東日本大震災以来だった。
第1陣出動メンバーは日向さんを含め4人。1月10日に横浜を出発し、11日に石川県鳳珠郡能登町に到着。15日まで現地で活動を行った。日向さんは「現地は雪が降っていた上に、道がボコボコになっていたので走りづらかった。半島の特性上、道も限られるため渋滞がひどく、普段の所要時間の3倍ほどかかった」と苦労を滲ませた。
金田さんは、第6陣として1月31日から2月4日まで現地で活動。「能登半島の医療機関が再開するまでの支援だった」(金田さん)ため、市薬剤師会は2月6日に横浜に戻っている。
円滑に薬提供
現地には、横浜薬科大学に常駐している災害時対策医薬品供給車両(モバイルファーマシー・以下MP)とともに出動した。
同車両は、災害時に調剤できるように発電機や水のタンクを備えており、ベッドやトイレなど宿泊できる設備もある。「現地のリソースを割かずに支援活動にあたることができる」(金田さん)ようになっている。
横浜市薬剤師会の現地での任務は、「被災者への薬の提供」。日向さんは「到着した当時、現地の薬局などは被災して、機能していなかった。薬の処方が必要な人に対しては、災害派遣医療チームなどが災害処方箋を出していたが、薬の提供がうまくできていなかった。MPを用いることで、円滑な提供のスキームができあがっていった」と振り返る。
金田さんは「活動の指針が確立していたので、業務をスムーズに行えた」と感謝を口にした。
衛生状況を改善
もう一つの任務が「公衆衛生の向上」。当初「避難所は寒さ対策のために換気が十分にできておらず、生活スペースも隔離できていなかったので、インフルエンザのクラスターも発生していた」(日向さん)状態だった。
そのため薬剤師会のメンバーは避難所でCO2モニターを用いた環境検査を実施。状態の悪い箇所には換気を促すなどの活動を行った。「環境検査をするようになってからは、避難所が自発的に換気などをやるようになった」と金田さんは話した。
「備え進めて」
活動を通して感じたのは「情報集約の大切さ」。
日向さんは東日本大震災時の経験に触れ「当時は福島県に派遣にされたが、情報を得る手段がなかったし、どこに集約されているかもわからず、困った時の対応は自分で考えなくてはならなかった。今後首都圏で災害が起きた時に備えて、指揮を取って情報を集約できる人材の育成が必要」と危機感を募らせた。
〈神奈川県後期高齢者医療広域連合からお知らせ〉【75歳以上の方が対象】いざ、健康診査へ!今こそ自分の身体を見つめなおす時 |
<PR>
旭区・瀬谷区版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
横浜の経済発展に貢献した産業功労者6人を表彰11月29日 |
|