横浜市はこのほど、2023年度の市内における児童虐待の対応状況について発表した。市全体での対応件数は1万4035件で、前年度に比べ1058件増加し、2年続けて過去最多を更新した。
横浜市における児童虐待の対応件数は年々増加を続け、19年度に初めて1万件を突破。20年度は1万2554件で過去最多を更新した。21年度は減少に転じたものの、22年度は1万2977件に。23年度は前年より8・2%増え、初めて1万4千件台に達した。
通告・相談の経路別の増加率を見ると、目立つのが「学校」からの2125件。前年度に比べ463件増(27・9%増)となった。さらに「幼稚園」(97件)は前年度から42・6%増、「児童福祉施設など」(213件)は29・9%の増加となる。件数で最も多いのは「警察など」で4451件。前年度から159件の増加で、全体の31・7%を占める。
相談種別では、心理的虐待が7129件と全体の50・8%を占める。次いでネグレクトが3748件(26・7%)、身体的虐待が3034件(21・6%)と続く。
市担当者は、児童虐待対応件数が過去最多となったことを「重く受け止めている」とした上で、増加の背景には地域の中での虐待防止や、体罰禁止などの意識の高まりがあるとする。市は21年度から22年度にかけて、全18区のこども家庭支援課に「子ども家庭総合支援拠点」機能を整備。関係機関との連携等に力を入れてきたことにより「早期発見の重要性が広まり、相談や通告をしやすい体制が整ってきたのでは」と分析する。
さらに市は昨年度から、子どもの権利などの理解力を深めることを目的に、横浜市民を対象に「こども虐待防止市民サポーター講座」を始動。これまで240人が受講している。今年度も継続する構えで、昨年度に実施した基礎編に加え、応用編も行っていく予定。市では「体罰によらない子育てを推進するため、啓発にも力を入れていきたい」としている。
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