ロシアによるウクライナ侵攻が始まり1年――。終結の兆しが見えない中、戦禍を逃れ、一人中尾で暮らすイオアン・チュマチェンコさん(17歳・愛称ワーニャ)。漫画家を目指し日々勉強に打ち込む。ワーニャさんは「夢だった日本への留学にこんなに早く来ることになるとは」と心境を語る。
ワーニャさんはオデーサ市の北西にあるダーチネ村出身。アニメや漫画が好きで、13歳の頃から日本へ憧れ、いつかは「留学したい」と日本語を学んでいた。しかし、平穏な日々は昨年2月24日に一変。「本当に攻めてくるとは思っていなかった。多くの人がそう思っていたはず」とワーニャさんは話す。緊張が走った国内では、食料や生活用品が買い占められ不足。次第にオデーサ周辺には、ロシア軍によるミサイルが飛んでくるように。ダーチノエ村も例外でなく一日2回ほどサイレンが鳴り響くようになった。
実状と異なる理由で攻撃
侵攻が始まるとウクライナ軍は、ロシアからの攻撃を逃れるため、学校などに臨時拠点を置いた。ダーチノエ村郊外にも軍事施設があり、ロシア軍はワーニャさんの母校が"臨時拠点になっている"として攻撃。「寝ていたら母に起こされて。飛んでいくミサイルの音を聞きながら、家に落ちないことだけを祈った。そうしたら聞いたことのない大きな爆発音が聞こえて」。町中の家屋の窓が割れ、水道管は破裂。翌日、友達と母校へ行くと校舎は爆破されていた。幸いにもこの攻撃で亡くなった人はおらず、ワーニャさん家族も無事だった。しかし、住民たちがウクライナ軍を学校近隣で見たことは一度もなく、"臨時拠点"はロシア軍によるデマだとされている。
和田さん夫妻が支えに
ワーニャさんにも危険が迫る中、その身を案じたのは和田達朗さんとウクライナ人の妻シーマさん。和田さん夫妻は昨年3月まで、ダーチノエ村の近くに住んでいた。シーマさんはそこで日本語を教え、その時の生徒がワーニャさんだった。「妻から、漫画家を目指す男の子の話はよく聞いていて、どうにか日本に呼び寄せられないかと思っていた」と和田さん。支援の制度や学校を探し、8月にワーニャさんは来日。横浜市内の専門学校に通うため、中尾に家を借りた。
「話し相手がほしい」
まずは学校の授業では日本語を学ぶワーニャさん。「漫画を勉強するため」と日々励む。そんなワーニャさんを支える和田さんは「彼と休日に一緒におでかけできる友達、漫画について語り合える仲間がいたら」と思いを話す。東京に住む和田さんがワーニャさんと会えるのは月に2回ほど。近隣住民にも支えてもらえないかとワーニャさんの友達や支援に協力してくれる人を募集しているという。ワーニャさんは「一人で住んでいると寂しく、話し相手がほしい」と話す。支援などに関心のある人は和田さん【メール】ukk.zo1617@gmail.comへ連絡を。
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