神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
旭区・瀬谷区版 公開:2024年7月25日 エリアトップへ

ニホンライチョウ 野生種の精液から人工繁殖 日本初 旭区の施設も貢献

社会

公開:2024年7月25日

  • X
  • LINE
  • hatena
市繁殖センターで飼育しているニホンライチョウ=同センター写真提供
市繁殖センターで飼育しているニホンライチョウ=同センター写真提供

 横浜市繁殖センター(尾形光昭所長)=旭区川井宿町=はこのほど、東京都恩賜上野動物園や富山市ファミリーパーク(富山県)などと協力して、冷蔵した野生ニホンライチョウの精液を用いた人工繁殖に成功した。日本初で、絶滅が危惧される同種の減少に歯止めをかける狙いだ。

 ニホンライチョウは日本の固有種で、北アルプスをはじめ、本州中部の高山帯に生息するキジの仲間。環境悪化が原因で個体数を減らしており、2000年代には約1700羽に減少。近い将来、野生での絶滅の危険性が高いとされる絶滅危惧IB類に指定された。

 絶滅危惧種を管理する環境省は14年、「生物多様性保全の推進に関する基本協定」を動物園や水族館で組織される(公社)日本動物園水族館協会と締結した。よこはま動物園ズーラシアの敷地内にあり、同協会に加盟する市繁殖センターはニホンライチョウの繁殖に長年取り組んできたとして、「生息域外保全」プロジェクトに2021年から参加。野生のオスから精液を採取し、飼育下の個体に人工授精ができるかを上野動物園と協力して調べることになった。

数年かけデータ収集

 プロジェクトに参加した同センターの石井裕之さんは、「1羽から精液がどれほど取れるか、冷蔵でどれくらい持つのか調べる必要がありました」と振り返る。石井さんと同センター獣医師の田坂樹里さんは、キジ科の人工授精に長けたズーラシアの技術を学んだほか、精液採取に関する先行例を調べるなどデータを収集した。

 日本各地で飼育されているニホンライチョウは、乗鞍岳に生息していた個体から繁殖させたため、自然に近い状態で計画を進める必要がある。そのため、石井さんと田坂さん、上野動物園、富山ファミリーパーク、環境省のスタッフなど12人は繁殖期の5月25日と26日に乗鞍岳を訪れ、6羽の野生個体から精液を採取した。

 この精液は冷蔵された後、乗鞍岳から最も近くでライチョウを飼育している富山市ファミリーパークに4時間かけて輸送され、雌5羽に注入。6月28日に2羽の雛が誕生した。

 石井さんは、「精液の採取ができれば上出来と考えていたが、年内に繁殖にまで結びつくとは」と話した。今後の課題として、自然環境と飼育下での受胎率の違いなどあるため、理由を調べて絶滅を防ぐ手段を模索するという。

精液採取の様子=同センター写真提供
精液採取の様子=同センター写真提供

<PR>

旭区・瀬谷区版のトップニュース最新6

シールで体温を可視化

民間企業

シールで体温を可視化

暑熱対策、今宿南小で実証

10月17日

喜寿迎え 記念の個展

瀬谷区在住小滝さん

喜寿迎え 記念の個展

水彩画70点 あじプラで

10月17日

旧瀬谷西高で開催へ

瀬谷フェス

旧瀬谷西高で開催へ

跡地開発で会場変更

10月10日

65歳のがん検診無料化

横浜市

65歳のがん検診無料化

退職での受診離れ防止へ

10月10日

結婚式場で非日常を提供

中希望が丘富士見会

結婚式場で非日常を提供

入会促進へ新たな挑戦

10月3日

地域の創作者らが展覧会

瀬谷区民文化センター

地域の創作者らが展覧会

9日から第1弾

10月3日

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 10月3日0:00更新

  • 9月19日0:00更新

  • 8月29日0:00更新

旭区・瀬谷区版のあっとほーむデスク一覧へ

イベント一覧へ

横浜できのこ好きの祭典

入場無料

横浜できのこ好きの祭典

10月26、27日にMMテラスで

10月26日~10月27日

旭区・瀬谷区版のイベント一覧へ

コラム一覧へ

旭区・瀬谷区版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年10月17日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook