ヒガンバナ 文:清水道夫(瀬谷環境ネット)写真:中村多加夫(同) 瀬谷の生き物だより176
9月後半、公園や民家の庭などで草丈30〜50cm程の茎の先に付いた赤い花を見掛ける。ヒガンバナである。
本種は中国大陸原産で北日本を除く全国に分布、田畑の畦、土手などに群生する。花は10〜15cmの集合花で数個が輪生、花被は狭披針形(きょうひしんけい)で強く反り、1本の雌蕊(めしべ)と6本の雄蕊(おしべ)が長く突き出る。花の咲くころ葉はなく、花が枯れた後、深緑色で中央に白緑色の線がある細長い葉が出て冬を越す。翌春他の植物が葉を広げると葉は枯れ、秋まで休眠生活に入る。花は咲くが種子を作らないで、地下の鱗茎(りんけい)で無性繁殖する。鱗茎はアルカロイドを含み有毒である。
和名ヒガンバナの由来は秋の彼岸に花を付けることによる。仏教では天界の花とされ、曼殊沙華(まんじゅしゃげ)と呼ばれる。その他墓地によく咲いていることから不吉なイメージを持たれ、幽霊花、死人花など多数の別名がある。この様ないわれのあるヒガンバナも、今はその美しい群落が季節の名所として各地で知られる様になり、和泉(いずみ)川沿い東山の水辺でもその小群落を見る事が出来る。
ちなみに、白い花を付ける種もあり、シロバナマンジュシャゲと言う。
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