瀬谷の生き物だより【97】 文:宮島行壽(瀬谷環境ネット)写真:中村多加夫(〃)
上海料理としての「シャンハイガニ」をご存知の方は多いことでしょう。この蟹と同族異種の蟹の和名がモクズガニである。日本全国に棲息し、「ズガニ」「カワガニ」等地方名も多く存在する。
成体の甲幅は7〜8cmで淡水に住む蟹としては大きい。爪はまるでボクシングのグローブを思わせ、表面には毛が生えており、それが藻のように見えることからこの名前がついたとされている。英名は「グローブ蟹」。その生活史は特徴的である。(通し回遊)まず産卵は海、孵化後成長しながら川を上流へと遡っていく。甲殻類故、脱皮を繰り返し数年かけて成体となる。脱皮は実にうまく、脱皮前の姿と全く変わらない脱皮殻を残す。水槽内ではそれを食べ体に取り込む。成体となった11月、川を下り海水中で産卵をするのだ。
和泉川では年に1〜2回は仕掛けに入ってくる。和泉川源流域の瀬谷市民の森の水路でも捕獲したことがある。区内の他の川でもきっと生息しているに違いない。早咲きの桜で有名な伊豆の河津川では「ズガニ汁」が名物料理になっている。
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