横浜市は、行方不明になった認知症の高齢者らができるだけ早く自宅に戻れるように、本人の身元を特定できる「見守りシール事業」を12月3日から開始した。市は、条件を満たす認知症高齢者やその家族にシールを配布し、行方不明者の早期発見などに役立てたい考えだ。
年々増加する認知症による行方不明者。市高齢者保健福祉計画の推計値によると、2020年の認知症高齢者は市内で17万人。団塊世代が75歳以上になる25年には、20万人に達すると予測している。
見守りシール事業の利用は無料だが、対象者は在宅の横浜市民かつ、認知症高齢者対策で警察や各区行政機関が連携する「認知症高齢者等SOSネットワーク」への事前登録と、迎えに行ける家族らがいることなどが条件になる。
事業に登録するには、認知症高齢者の家族などが、居住区の区役所高齢・障害支援課や地域ケアプラザでの申し込みが必要になる(※鶴見区は地域ケアプラザのみ)。
シールは、帽子や靴、杖、携帯電話などに直接貼り付けるタイプとアイロンで洋服など布製品に付ける2タイプある。縦、横約2cmから約5cmまで5サイズが揃う。
まちで徘徊する高齢者らに貼られたシールの二次元コードを発見者や警察官が携帯端末などで読み取ると、電話番号やID番号が表示される。発見者を介し、コールセンターが本人の家族と連絡を取り、行方不明者の早期帰宅につなげる。コールセンターは24時間対応で、看護師も常駐しているという。
見守りシールを配布する市健康福祉局の担当者は「行方不明者の早期発見や保護時の身元確認がスムーズになるだけでなく、事故や事件に巻き込まれる心配などの家族の精神的負担を軽減できれば」と期待を込める。
初期の認知症の疑いがある夫と暮らす市内在住の60代女性は「散歩に行く時は携帯電話を持たせているが、このシールがあれば夫一人の外出でも安心できる」と話す。
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