横浜市はこのほど、中国の大手オンライン旅行社Ctrip(シートリップ)と観光誘客などに関する連携協定を締結した。市内宿泊者で最も多い中国人旅行客の拡大などが目的。将来的に、人口減による市民税減収時の代替収入策の一つとして、外からの消費を育てたい狙いもある。
旅行予約サイトなどを運営するシートリップは、中国で65%のシェアを誇る。協定には、公式サイトやSNSでの情報発信、同社の持つインバウンド関連データ活用などが盛り込まれる。東京五輪・パラリンピック関連の誘客事業や、横浜マラソンを活用した新しいコンテンツなどを探る動きもあるという。
目標達成への一手に
昨年度、市内に宿泊した中国人観光客は延べ17万9071人。全体73万人の約4割を占めるが、市内への宿泊数は、訪日中国人のビザが緩和された2015年をピークに約5万人減少している。
これについて市は、「東京の一部というイメージで、世界的な知名度の低さ」を要因にあげる。
市の新たな中期4か年計画では、20万人増の93万人(21年度末)を掲げており、「達成に中国は外せない」とする。
宿泊者増には資源不足
誘客のために発信する観光資源は、みなとみらいや中華街など従来の観光地が主となる見込み。他のエリアについては、観光資源があることは認めつつも、「受け入れる環境整備も含め、いきなり広げるのは難しい」との認識を示す。京都や鎌倉では観光客の急増が、市民生活に影響を及ぼすケースも出ているからだ。
新横浜のホテルは「横浜観光のメインがみなとみらいになるのは仕方ない」と理解した上、宿泊客を呼ぶには周辺の観光資源が不足していると指摘。「イベント時の宿泊を狙い、国内外のニーズを拾いながら、ホテル近隣でのイベントを発信してほしい」と期待する。
一方、市は市内にある観光資源に対しての整備提案はあり得るとする。地域の意識を含めた受け入れ環境などが整えば、活用したいという。「人口減少時代で市税が減っていく中、収入先の変更は急務」とし、誘客に力を入れていく姿勢だ。
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