瀬谷の生き物だより【109】 文:今野紀昭(瀬谷環境ネット)写真:中村多加夫(同上)・岸 久司※ヒクイナ撮影
クイナ(水鶏)鳴くは、俳句の世界では夏の季語で「一つ家を毎晩たたく水鶏哉」と正岡子規の句にも詠まれている。唱歌「夏は来ぬ」にも唄われ良く知られた鳥であるが、その姿を目にした方は少ないのでは。
クイナは北海道、本州北部で繁殖し、本州以南で冬鳥として越冬する。夏の季語に詠まれるクイナは、ヒクイナ(緋水鶏)で全国に夏鳥として渡来し、キョッ、キョッ、キョッと連続して鳴くその声が戸を叩く様と詠まれたのである。クイナもヒクイナも水辺、湿地の同じ環境に棲息する鳥で、俳句の世界ではその違いを正す必要もなく、季節の鳥として詠んでいたのであろう。
クイナはツル目クイナ科の鳥で日本では13種が記録され、ヤンバルクイナは有名である。全長は30cm弱で小型の鶏に似る。体上面は茶褐色で黒い縦班が入り、脇から下腹と下尾筒は鮮やかな白と黒の縞模様になっている。和泉川では例年1月に入ると現れるのであるが、今年は早く12月から見られている。警戒心の強いこの鳥を探すのも散策の楽しみにしては如何。
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