サシバ 文:今野紀昭(瀬谷環境ネット)写真:中村多加夫(同) 瀬谷の生き物だより129
初夏5月、一羽のタカが瀬谷市民の森に舞い降りた。渡り鳥であるサシバだ。東南アジア方面から繁殖のため、日本に夏鳥として渡来する。大きさはハシボソガラス程。雌雄同色で、体上面は茶褐色。腹部は白く、茶褐色の横斑がみられる。平地から山地の林、谷津田などの環境に生息し、ヘビやカエル、トカゲなどの両生類や爬虫類などを主に捕食する豊かな里山を代表する鳥である。
近年急速に悪化する里山の環境と越冬地・フィリピンを結ぶ環境を守ろうと、2019年5月に第1回国際サシバ・サミットが栃木県で開催され、中継地である宮古島、台湾、フィリピンから研究者や市民が参加した。2020年はフィリピンで行われている。サシバの秋の渡りは壮観である。何百、何千という数のサシバが各地の渡りのポイントに集まり、次々と鷹柱を作りながら空高く舞い上がり、海を渡って行く姿に遭遇した時には感動を覚える。
秋の瀬谷野原でも一羽、二羽と上空を渡って行く姿を見ることがある。今、旧上瀬谷通信隊基地の跡地利用が市民参加で検討されているが、サシバの住める里山の復活を期待したい。
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