上瀬谷地区の生産農家や横浜市などが連携して、南米原産の果物「パッションフルーツ」の試験栽培に取り組んでいる。同地区における新たな特産品の開発を通じて、営農の高収益化を目指す試みの一環だ。7月30日には今年度の中間報告会が行われた。
南米原産の果物、試験栽培
明治時代にハワイから国内に伝わったとされるパッションフルーツ。芳醇な香りや甘酸っぱさが特徴で、半分に切って生のままゼリーのように食べたり、ジュースやソースにしたりと様々に活用されている。
市農政推進課によると、この試みは2019年度にスタート。地権者で組織する「まちづくり協議会」の農業振興部会が市の提案を受け、新しい特産品を模索する試験栽培品目としてパッションフルーツを選んだ。
開発が本格化したのは20年度。八王子市の生産組合や千葉県の暖地園芸研究所を視察するとともに、7軒の農家が栽培に挑戦。そのうち1軒はJA横浜のハマっ子直売所4カ所で販売し、計46袋が売れたという。
21年度は9軒が参画。4月頃に定植し、8月上旬から10月下旬にかけての収穫を目指している。また、今年度はソフトバンク(株)のセンサーシステム技術も活用され、その効果が検証されている。これは畑に専用機器を設置して気温や湿度、土壌の状態などを調べるもので、スマートフォンでデータを確認できたり、作業時期の案内や高温アラートなどの通知を受け取ることができる。
中間報告会も
30日は市職員や同社の社員が農地を訪れて生育状況を確認。JA横浜瀬谷支店で行われた報告会ではセンサーシステムや、開花や授粉状況に関する説明があった。販売や出荷に関する検討もあり、重さなどの基準を設けたほうが良いといった意見や、酸味と甘みのバランスが重要だという声が挙がった。
昨年度から試験栽培する小林裕三さんは、トロピカルフルーツとして夏に売り出すには、定植時期を早めるための遅霜対策が必要だとコメント。また、夏野菜づくりと重なることでの労働力分散も懸念事項だとした。その一方で、直売所での販売実績を踏まえて「パッションフルーツは消費者の認知度もあり、ちゃんと売れている。食べ方や食べ頃を伝えるシールなどを商品に添えれば、より手にとってもらいやすくなるはず」と手ごたえも話していた。
今年度の販売は、ハマっ子直売所や市庁舎で検討されている。また、市内の洋菓子店に原材料として使用してもらえるよう生産農家が相談を進めているという。
パッションフルーツの栽培については来年度以降、営農者が中心となって進められる予定。また、市は必要に応じて、農家と連携しながら別の作物の試験栽培など高収益化を模索する考えだ。
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