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瀬谷区版 公開:2023年9月21日 エリアトップへ

古民家を”展示室”に 震災や戦争、地域文化伝える 下瀬谷の仙田さん

社会

公開:2023年9月21日

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「子どもたちに伝えていきたい」とくに子さん
「子どもたちに伝えていきたい」とくに子さん

 下瀬谷在住の仙田諭(さとる)さん・くに子さん夫妻が自宅敷地内にある築100年以上の古民家を改修し、関東大震災や第二次世界大戦に関する資料と品々、昔の農機具などを並べている。この"展示室"には近隣小学校の児童が見学に訪れるなど、震災や戦争、地域の歴史を今に伝える貴重な場になっている。

 この古民家はここ数十年ほど、様々な道具を保管する物置として使われていたという。「梁がとても立派。震災や戦争を乗り越えた建物で、何とか残したかったんです」とくに子さん。2020年から改修に着手し、1年がかりで完成させた。

 土壁をベニヤ板に張り替えるなどしたが、出来る限り当時の形を残すことにこだわった。庭を望む窓ガラスの1枚は昔のままで、戦時中に近所に焼夷弾が落ちた時の衝撃でヒビが入っている。また、鉄格子が無い窓もあり、これは戦中の金属供出によって無くなったものだという。

次世代に残す

 古民家に様々な品を並べているのは、小・中学校の教員だったくに子さんの「子どもたちに多くのことを伝えていきたい」という想いからだ。展示物の一つが、諭さんの祖父にあたる雷助さんの手記「大正大震災」。1923年に発生した関東大震災の被害状況などを書き記した手記で、瀬谷や横浜市街、鎌倉など当時の様子を詳しく知ることができる。

 戦争関連の資料や品々も多い。諭さんの伯父で測量士だった耕太郎さんの軍服や鞄、幹部候補生として軍隊で学んだことを記したノート「教練手簿」。米軍の飛行機によって撒かれ日本軍部の指導者を批判した紙、戦中に組織された農商省が配布した衣料切符なども置かれている。

 また、風力によって穀物を籾殻や玄米に分ける「唐箕(とうみ)」、花嫁が輿入れする時の必需品だったという「長持」、穀類を入れて均等にする道具「一斗升」など、大正・昭和期の農業や暮らしの一端を知ることができる品々も展示されている。また、諭さんの母親で教師だったミユキさん縁の品として、教え子の一人だった山口百恵さんが写る学級写真なども並ぶ。

 先祖代々の品を整理し、いかに分かりやすく展示するか苦心したというくに子さん。子どもたちにも理解しやすいようにと、それぞれの品に説明文も添えている。「子どもたちに昔の記録や記憶を伝えていくことが使命だと思っています」と話している。

 見学などに関する問い合わせは仙田さん【電話】045・301・2324。

測量士だった耕太郎さんの鞄なども
測量士だった耕太郎さんの鞄なども
雷助さんの手記の原本も展示されている
雷助さんの手記の原本も展示されている

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