ハラン文:山村卓也(瀬谷環境ネット)写真:中村多加夫(同)、宇佐美伸子(同) 瀬谷の生き物だより 168
ハラン(葉蘭)は、50cmほどの葉を一年中楽しめる丈夫な植物なので、庭に植えている人も多いだろう。中国原産と言われていたが、実は九州南部の原産で、キジカクシ科ハラン属の常緑多年草である。縞模様や斑入りの園芸品種が江戸時代から作られている。
葉には殺菌作用があるので、寿司や日本料理の盛り付け用、仕切り用として使われてきた。料理職人は富士山や鶴亀、海老などの形にハランを「飾り切り」して、料理を引き立たせたものだ。しかし今では無粋なポリエチレン素材の「バラン」に替わってしまった。
ハランの花に気がつく人は少ないだろう。2〜4月に4cm位の地味で変わった花が根元に咲く。花被片が鐘型に8分裂し、紫色の雌しべの柱頭が大きく蓋をした形なので、下にある雄しべは全く見えない。そのため花粉を媒介する生物が長い間不明であった。ダンゴムシとかトビムシの仲間とか諸説あったが、どうやらキノコバエ類で決着がつきそうである。果実は翌年の夏に成熟するという。
庭のハランの根元をかき分けて、不思議な形の花をぜひ見つけていただきたい。
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