カイツブリ文:清水道夫(瀬谷環境ネット)写真:中村多加夫(同) 瀬谷の生き物だより 169
境川沿いを散策中、ふと川面に動く鳥が目に入った。持ち合わせた双眼鏡で見るとカイツブリであった。
本種は全国の池や湖沼、流れの緩やかな川などに生息する留鳥で、カイツブリ科に属し体長26cmと同属の中で国内最小の鳥である。体色は雌雄同色で、全体に茶褐色、幼鳥は淡褐色で嘴(くちばし)の根元に黄白色の部分があり、瞳は黄色い。夏の繁殖期には顔から首にかけ赤褐色に変わる。
水草や葭(あし)の茎等に絡めて浮き巣を作る。殆ど飛ばず水面を走るように移動する。足には水かきがあり、潜水が得意で水中で小魚、甲殻類などを捕らえて食べる。
普段は「キリリ」と細い声で鳴くが、繁殖期や水面を低く飛ぶときは「キュルルルル」と甲高い声を発する。
カイツブリの古名は鳰(にお)といい、歌人や俳人に親しまれてきた。かつて琵琶湖には多数生息していた様で"鳰の海"と呼ばれ、高浜虚子が"鳰がゐて鳰の海とは昔より"と俳句に詠んでいる。また、巣は"鳰の浮巣"として俳句の夏の季語になっている。カイツブリは境川ではよく見られ、運が良ければ和泉川でも出会えるかも。
|
|
|
|
|
|