瀬谷の生き物だより【100】 文 今野紀昭(瀬谷環境ネット)写真 中村多加夫
数年前の春3月、麗らかな春の陽の中非常に珍しい1羽の鳥が瀬谷の原に現れた。ヤツガシラである。
広くユーラシア大陸からアフリカにかけて生息し、日本には数少ない旅鳥として春3〜4月に主に日本海の島嶼(とうしょ)を通過、生息地では広い草地、農耕地、河原など開けた場所を好む。主に地上で生活し、活発に大股で歩き昆虫、クモ、ミミズ等を探して食べる。羽ばたきは遅く、ゆっくりと飛ぶ。
サイチョウ目ヤツガシラ科の鳥で全長は26〜28cm、ヒヨドリとほぼ同じ大きさで、頭部から胸にかけて赤褐色、背から尾にかけては目立つ白と黒の縞模様、頭の長い冠羽は驚いた時や伸びをする時、そして着地の瞬間等に羽うちわの様に広げる独特の形を見せる。その幾条にも開いた冠羽の様がヤツガシラ(八つ頭)の和名の由来とも云われる。
その優しい顔つきと共に一度目にする幸運に恵まれれば、正に一期一会の出会い、まるで名画を見る様なそんなシーンがバードウオッチングの世界へ誘うものであろう。季節も良し、一期一会を求めて瀬谷の原に足を運んでみては如何。
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