障がい児を支援する放課後等デイサービス事業所「わくわく未来CAN(カン)2」(東野台)が療育の一環として1年前から、墨を用いて文字や絵を表現する「墨笑(ぼくしょう)」に取り組んでいる。子どもたちが自由な発想で創作した桜や金魚鉢などの力作が、8月21日(月)からせやまる・ふれあい館で展示される。
8月2日、同事業所の一室で墨笑の活動が行われた。指導するのは福祉施設や地域グループなどで墨笑を広めている関沢智子さん(区内在住)。入室した子どもたちは正座になり、「よろしくお願いします」とあいさつする。この日のテーマは「太陽」。太陽に関連する字を筆で障子紙に描くとともに、赤い絵の具を塗りたくった手を元気いっぱいに押し付けながら創作していく。
「1年前は部屋に入ることを嫌がる子どももいました」と管理者の井上幸代さん。墨笑の活動は週1回ほどのペースで行われており、回数を重ねるにつれて落ち着いて座ったり、筆を扱えるようになったという。「字が苦手な子もいるけれど、この1年間で字と友達になれましたね」と手ごたえを感じている。「子どもたちが持つ可能性の大きさを感じました」と関沢さん。2日に参加した利用者は「紙に手をつけるのが楽しかった」「書くのが楽しい。難しいことは何もないです」と笑顔で話す。
文字と絵を合わせ
前身の児童デイサービスの時代なども含め約20年にわたり障がい児を支援する同事業所。今は小学生から高校生まで約20人が利用登録している。
墨笑を始めたのは昨年7月。散歩など外活動が多いなかで、座りながら作業したり、あいさつなど礼儀を身に付けられるようにと、同事業所の元職員で墨笑を広める取り組みをしている関沢さんに依頼した。
墨笑はその時々の想いや感情を素直に表現しようというもので、関沢さんが師事する橋戸在住の青木健さんが考案した。字の巧拙ではなく、自由な発想で描き、笑顔を誘うことが目的だ。
子どもたちの作品も個性あふれるものが多く、文字と絵が混在していることが特徴の一つだ。「金魚鉢」と題した作品では「石」や「岩」という漢字が鉢底に積み重なり、「さくら」では「桜」や「さくら」で花びら1枚1枚を表現している。「型に縛られない自由さが、皆に合っているのだと思います」と井上さんは話す。
「力作を観て」
せやまる・ふれあい館での展示は1階の通路で行われ、今月21日から9月4日(月)まで(初日は午後3時〜/最終日は5時終了)。広く一般に作品を公開するのは初めてで、関沢さんは「多彩な文字や色で表現した力作をぜひ観てあげてください」と来場を呼びかける。井上さんは「墨笑の魅力が多くの人に伝われば」と期待していた。
展示などに関する詳しい問い合わせは同事業所【電話】045・303・6161へ。
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