「いやぁ、風に舞う木の葉のような気分だよ」。本紙でおなじみの空撮写真コーナー「空からみてみよう」の写真は、毎週ヘリコプターに乗る中丸定昭さん(73)の提供によるもの。すべては天候次第。天気の良し悪しでポイントも変わり、撮れる写真も変わるという。
ヘリコプターに憧れて操縦免許を取得したのは1973年のこと。以来40年以上、空を飛び続けている。機体管理の目的もあり、週に一度はフライトが必要で、「中丸号」は土曜日が定番となっている。
フライトプランを提出するため行く先は決めるが、細かい撮影プランは立てていない。曰く「その時に見えた物を撮る。何が見えるかわからない。飛んでみて初めて気づくこともある」。天候や時間、季節でまちの表情は変わる。同乗者とのやりとりの中でその日の一枚が決まっていく。
「虹は空からどう見えるか」。地上からは半円形の七色の虹も、上空では大きな輪のように見えるという。「飛び続けても、あの輪をくぐることはまだできない」。46年間のフライトで虹を見たのも2回だけ。もちろん、それが目的ではないが、なかなかたどり着くことができない景色も、自身の背中を押している。
免許取得は簡単なものではなかった。厳しい試験をパスしても、ほんの少しのミスで命を落としかねないことから、技術・体力の維持が最も重要だ。それでも「飛んでいる時は自分が雲になる」。この気持ちの良さは何ものにも代えがたいといい、「空のためなら」と頑張れる。
操縦から間もなくして空撮を始めたが、これまでに空がつないでくれた出会いも数えきれない。上空からの写真を写っている企業や施設などにプレゼントすることもしばしば。その写真がきっかけで交流が生まれた人がたくさんいる。
目下、興味は開始当初の風景メインから、あらゆる所の定点観測に移ってきた。開発や建設など、変わりゆく世の中を写す「記録としての写真」の価値に気付いた。自宅には、これまでに撮影した写真がエリア・撮影年別にきちんとファイルに整理されている。その数も10や20ではない。写真には一枚一枚に説明が加えられ、さながら写真集。「何十年後かに見た時、『あの時はこんなだったのか』と感じてもらう貴重なものになれば」。空の旅は続く。
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