腎移植による休職を経て、iOSアプリを児童と開発するなど独自の授業を行う 藤井 隆志さん 新橋小教諭 46歳
休んでも立ち止まらない
○…担任を受け持つ3年2組の児童と作った、感染対策の大切さや身近な幸せを広めるアプリ「みんなの命を守ろう大作戦」。公開後の3週間で700件以上ダウンロードされ、ニュース番組でも紹介された。「たくさんの人が子どもたちの頑張りを見てくれたことはもの凄くうれしい」としつつ「『たかが子どものアプリ』で終わってほしくない」とさらなる拡散に期待する。
○…科学館職員などを経て27歳で横浜市の教員採用試験に合格。児童のためにと寸暇を惜しみ、がむしゃらに働き続けた。そんなある日、遺伝性の疾患から慢性腎臓病と診断を受ける。年を追うごとに症状は悪化。命にかかわる末期腎不全となり、腎移植を決断。休職を余儀なくされた。
○…休職中も「立ち止まって何もしないのが一番ダメ」とプログラミングやアプリ開発を学んだ。職場復帰は果たしたが担任としてクラスを受け持つことは2年間できず。免疫抑制剤の影響による白内障から一時は失明状態にもなってしまう。「やりたい教室が作れず居場所がない」と自暴自棄になりかけたなかで、支えになったのはドナーとなった母や妻、アプリ開発を共に学んだ仲間の存在。「見返すチャンスはある」と背中を押され、自身の知識をもとに校内のパソコン環境を劇的に改善。市内屈指のICT環境を整えた。
○…そして今年度、念願のクラス担任に復帰。休職時代を支えた仲間が協力し、命を題材にしたアプリ開発を児童と成し遂げた。「体が悪くならなければここまで出来なかったかもしれない。弱い立場になったことで理解できることが広がった」と話す。「明日が普通にある人には負けたくない」と、舞い戻ったクラス担任としてあふれ出る思いは止まらない。
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