泉区内約60の歯科医院が加盟する泉区歯科医師会(相庭常人会長)では、幼稚園や保育園、小中高校への健診を担っているほか、近年では区民の高齢化からニーズが高まっているという「訪問診療」にも力を入れている。相庭会長は「口の健康を維持するには定期的な口腔管理が重要。忙しい人も面倒がらずに、かかりつけ歯科医院を見つけて通う習慣を」と呼びかけている。
気をつけたい「オーラルフレイル」
「オーラルフレイル」という言葉が注目されているのはご存知だろうか。フレイルとは加齢により身体能力が低下している状態のこと。口の中で起きているのがオーラルフレイルという。
泉区歯科医師会の相庭会長は「口の機能の衰えというのは、知らず知らず進んでいってしまうことが多い。気づいたらよく食べられなくなり、体力が落ちていってしまうことが病気のリスクにもつながります」と話す。
食べ物をこぼす、うまく飲み込めない、活舌が悪くなった、といった異変が衰えの兆候の疑いがあるという。「早ければ機能を取り戻せる可能性は高いので、歯科医によるチェックをおすすめしたいのです」と話す。
「オーラルフレイル」が悪化すると口腔機能低下症、ひいては摂食嚥下障害にまで至り、そこから回復するのは困難なケースが多い。介護認定のリスクは2・4倍にもなるという。そのため、泉区歯科医師会ではオーラルフレイルのセルフチェック(左図参照)を呼びかけ、4点以上は「すぐにかかりつけ歯科医院に相談を」と呼びかけている。
訪問健診も活用して
通院が困難になってしまった在宅高齢者の増加により歯科業界でも訪問診療のニーズが高まり、利用が広がっている。
相庭会長は「通院が困難な人こそ、口腔の健康維持は重要であるケースが多い。感染症の発症や嚥下障害などを引き起こす前に健診を」と警鐘を鳴らしている。
9月から市の無料事業
通院困難な在宅高齢者を対象に、横浜市と横浜市歯科医師会は「在宅要介護者訪問歯科健診事業」として無料の訪問歯科健診に取り組んでおり、今年で7回目の事業となる訪問健診を9月から実施する。
市内在住で歯科健診に行くことができない75歳以上で、要介護3以上の人(要支援1〜2か要介護1〜2で医科の定期的な訪問診療を受けている人を含む)のうち、現在医療保険や介護保険で歯科に関する治療・管理を受けていない人が対象。
相庭会長は「無料で歯科医師による虫歯、歯周病、口腔機能のチェック、歯科衛生士による歯みがきアドバイスが自宅で受けられますので、在宅歯科医療連携室(【電話】0120・740・648)へお申し込みを」と呼びかけている。