連載 介護の「本質」考えてみませんか 第3回 介護の現状【2】
介護の現場で、よく「認知症だから」「麻痺だから」「障がいだから」と聞くことがあります。
私は、この「○○だから」という言葉には違和感しかありません。介護従事者から当然のようにこの言葉を聞くと、残念でしかありません。
病気などになりたくてなっているという人はいません。病気などにはならずに一生を過ごしたいはずです。しかしどんなに「予防」をしていたとしても、何が起こるか分からないのが人生です
「○○だから」と言ってしまうことは、その人とかかわるのではなく、「病気など」にかかわってしまっていることになりかねません。要介護・要支援になってしまっても、今まで生きてきたこと、これから生きていくことには何も変わらなく「一人のひと」としてかかわることが当然なことです。
確かに、「できない・分からない」ことが増えるかもしれません。「でき難い・分かり難い」ことも出てくるかも知れません。しかし、「一人のひと」=「○○さん」は変らないのです。
私は、専門職からこの現状を変え、ご家族、地域にも発信をしていくことがなければ、本人さんの病状は早く進行してしまうと思っています。
なぜなら、「人として接してもらえない」ことが「孤独」「絶望」といった負の感情を与えてしまうからです。特に、認知症の症状には「負の感情(不安・不快・恐怖)」を与えてしまうことで進行につながるとされています。かかわりかた一つでここを与えてしまっている現状が多くありますので、ご自宅で悩まれたときは「介護従事者」にどうすればよいのかを聞いていただけたらと思います。
また、認知症のことを「ニンチ」と略されていることもしばしば耳にします。これにも違和感しかなく、私自身も認知症の当事者の方から「『ニンチ』と呼んでほしくない」とはっきりと言われたことがあります。認知(ニンチ)とは本来、ある事柄を【認める】という意味や【知覚や記憶など知的な活動】を意味します。つまり、ニンチとは病気の有無に関係ない脳の機能のことなのです。
「○○さんはニンチが進んだ」と言うことは「認知症の症状が良くなった」が正しいのです。しかし、現状はマイナス面で使われていることが多いので、言葉は正しく使わなければなりませんよね!
介護は他人事ではなくなってきている時代ですので、言葉を正しく使い「一人のひと」としてしっかり向き合うことこそが進行の予防になるのだと思います。
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