関東大震災で大破して以来バラバラの状態で保管されていた向導寺(岡津町)の阿弥陀如来坐像が約100年ぶりに修復され、横浜市指定・登録文化財展(2月3日〜3月10日・市歴史博物館)で展示される。
この仏像は平安時代後期の11世紀に造られ、部材が分離した状態で1988(昭和63)年に横浜市有形文化財第一号に指定された。指定調書によると「県下に伝わる平安時代後期の作品の中でも屈指の佳作であり彫刻史上に占める意義は重い」と評価されたという。
住職が在住していない同寺では近隣の西林寺住職が兼務。現住職の大橋俊史さんによると、仏像は本堂で保管されていたが先代・俊雄さんが2000年ごろ、整理しているときに数十年ぶりに部材を発見。市歴史博物館に相談したところ同館が保管することになった。21年に展覧会「横浜の仏像〜しられざるみほとけたち」で大破後初めて仮組され展示された。
市文化財保護審議会副会長で鎌倉国宝館の館長を務める山本勉氏は1月17日に行われた文化財展関連のトークイベントで、「耳珠が強調されるなど平安中期から後期にかけての仏像。地方で作られたものではなく、都で造られたものだろう」とコメントした。
当時の文化を残す
平安時代の特徴を残した仏像を修復しようと21年の展覧会で寄付が募られ、22年4月から翌年3月にかけて修復が実施された。
修復は現状維持を目的に、後世で加えられた粗悪な補正部分は取り除かれ、新たに材をくわえることなく行われた。大橋住職は「展覧会で予想以上の寄付が集まり、多くの方が修復を望んでいることを感じた」と修復に踏み切った。
同寺では本尊がほかに祀られていることなどから、この仏像を文化財として同館で保存し後世に残そうと決断した。「欠損している部分を補うことなく修復してもらったが、その姿には思わず手を合わせてしまうほど仏像が持つ力を感じました」と話す。
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