もじゃくん先生の「こどもたちの可能性を、未来に」 vol.11 「スペック」
7年間も愛用していたパソコンの調子がついに悪くなり、買い替えることになりました。店員さんのおすすめは、最新型で"スペック"の高いパソコンでした。スペックの意味を調べると、「性能」や「仕様」などの意味で使われるとのこと。最近この"スペック"という言葉を居場所に来ている一人の子から聞くことがありました。
その子はゲームがとても好きで、居場所に来るとすぐにゲームをはじめる子です。最初の頃は一人でゲームに熱中することが多かったのですが、農園に顔を出したり、ボードゲームに参加したり、活動の幅が広がっていきました。最大の持ち味は、「誰にでも話しかけたり、すぐに打ち解けたりできる社交性」だと私は思っています。年齢に関係なく気軽に話しかけたり、初対面の人でも自分から話しかけたりして、自然と仲良くなります。その子と二人きりの時に、「〇〇さんは本当にすごいね」と伝えると、「いや、自分はダメなんです。友達と深く仲良くなることができないんですよ」と話してくれました。
どれだけ社交性があっても、人間関係で悩んだり苦しんだりする事実があること。そのことで「自分はダメなんだ」と自己否定感を抱えていること。しかし、その事実と向き合い、自分自身で人間関係での難しさや壁を乗り越えようとしていることも感じました。
そんな話から3か月。相変わらず、いろいろな人に笑顔で自然に声をかけています。友達と一緒に帰ったり、一緒に遊んだりする姿があり、信頼し合える仲間が増えていました。仲間に自分が苦手なことや悩んでいることを打ち明け、「その気持ちわかるよ。〇〇の良いところはさあ〜」と言ってもらって、やわらかい笑顔が増えました。最近、彼がスタッフにこう話しました。「自分、"スペック"はいいんですよ」。少しずつ自分の持ち味に気づき、自己肯定感を高めながら自分づくりをするその子の姿は、今日もきらきらと輝いています。
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