横浜国立大学大学院の名誉教授で、無人探査機「SLIM」の月面着陸に貢献した 上野 誠也さん 66歳
空が秘める可能性探る
○…「SLIM」が最小燃料で月面着陸する軌道を横浜国大航空宇宙システム研究室の学生などとともに計算。日本が無人探査機を月面着陸させたのは初めてのことで、その偉業に貢献した。「研究室のメンバーが地道に頑張ってくれた。歴史に残る大きなプロジェクトに携わることができて光栄」と謙虚に話す。
○…子どもの頃から飛行機が好きで、プラモデル作りに没頭した。飛行機の絵が実物化された時のことを想像し、それが飛ぶかを予測できるまでになったという。大学・大学院では飛行機の軌道に関する研究などに取り組み、民間企業を経て、32歳で横浜国大に入職。昨年3月に定年を迎えるまで理工学部で教鞭を執り、今は名誉教授として縁の下から学生をサポートする。自然豊かなキャンパスに愛着を持ち、約30年間、環境情報1号棟の目の前にある木々の成長を見守った。みなとみらいのランドマークタワーに覆いかぶる木々を見て、「時の流れを実感する」としみじみ語る。
○…現在はJAXAの航空技術部門で、空飛ぶ車が実用化された際の交通整備などを模索する。空を有効活用できれば、移動時間が短縮され、都市部の一極集中などの課題解決が期待される。上空での交通ルールや安全面の確保など、課題は山積みだというが、「空飛ぶ車の実用化は不可能ではない」ときっぱり。「生活の自由度が増し、自分の好きなまちで暮らせるような社会を実現させたい」と夢を語る。
○…中学から大学までバドミントンに打ち込んだというスポーツマンの一面もあり、今もプレーする。休日は自然豊かな都内のランニングコースを走り、「心身ともにリフレッシュできる」と笑顔で話す。身近な自然に敬意を払い、空へのロマンを追い求めていく。
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