「学校図書館には『読書センター』としての役割のほか、『学習情報センター』の機能が求められる」と話すのは、学校図書館に詳しい八洲(やしま)学園大学=西区=の高鷲忠美教授(73)だ。公共図書館と異なり、授業での活用や、調べる力などの情報活用能力を育てる狙いがあるという。学校図書館法第2条では、学校図書館の設置には、教育課程の展開と児童生徒の教養の育成に寄与する等の目的があると定められている。
そこで重要になるのが授業と図書館を結ぶ司書教諭。だが、12学級以上の学校に配置される司書教諭は担任などを受け持ち、学校図書に関わる時間が設けられていないことも多い。負担軽減のためにも、資料集めや図書に関するアドバイスなどで司書教諭を支え、他教諭が授業で使いやすい環境整備を行う学校司書の役割が必要になる。
成功例として高鷲教授が挙げるのが、山形県の朝暘小学校。1人あたりの貸し出し冊数は年間174・1冊(2012年9月現在)。文学に偏ることなく社会科学や自然科学など分野も広い。学習の向上にも貢献し、全校児童577人の9割が13年度の調査で「授業が理解できる」と答えている。
同校では9年前から司書教諭を配置。校長の裁量でクラス担任を外し、週21時間は学校図書館で担任と授業を行う。約40年前から導入した学校司書も、子どものいる時間は常駐。校長や教頭、各主任で構成される「図書館活用教育特別委員会」を組織し、図書館を活用した教育について審議しているという。
横浜市は16年度までに公立小中、特別支援学校500校全てに学校司書を配置予定。高鷲教授は「鍵がかかっていた図書館に人が置かれるのは良いこと。読書量は増えるだろう」と期待を寄せる。一方、学校司書の研修の充実、司書教諭の時間確保などを課題に挙げる。また、校長ら管理職の意識改革も必要になるという。司書教諭が抱える業務の軽減措置や、他教諭を巻き込んだ授業での積極的利用が求められる。「読書センターの役割だけでは廃止になる恐れもある」と高鷲教授。教育の場として機能するよう、環境整備することが急務だ。
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