(一財)横浜市交通安全協会が、市民向けに提供する「ハマの自転車保険」の加入者数が、募集開始から約2年で4千人ほどと伸び悩んでいる。同協会は「周知不足」とするが、自転車事故による高額賠償例が相次ぐ中、選択肢の一つとして普及促進が求められる。
自転車が加害者となる事故への高額賠償事例を背景に、近年、損保各社の自転車保険商品が拡充されている。「ハマの自転車保険」は、2015年に損害保険ジャパン日本興亜(株)と包括協定を結んだ横浜市の協力要請により、同協会が同保険加入を特典とした「自転車会」を設立して開発されたものだ。
約半数が未加入
同社を引受会社とし、16年2月に募集が開始されたハマの自転車保険。年間掛金1550円で最大1億円を補償など、団体保険のため割安というメリットもあるが、16年度は3千3百人、17年度は1月11日現在で891人と低調だ。同協会は初年度目標1万人としたが2年経過もその目標に対し4割にとどまっている。
昨年度市が発表した自転車総合計画策定時の調査では「普段から自転車を利用する市民」を約118万人と予測。自動車保険等に付帯するものなど、個人の加入状況をすべて把握するのは難しいが、今年度に市が実施したアンケートでは、約半数が未加入と回答。そのうち「保険の存在を知らない」「加入方法がわからない」との理由が約4割を占める結果も出ており、自転車利用者に情報が届いていない状況もうかがえる。
同協会は要因を「周知不足」と説明する。各区老人クラブ連合会や、小中学校入学者への案内配布などで周知を図るが大幅な加入増には至っていない。担当者は「厳しい財政状況のため大々的な広報が出来ない。地道にやるしかない」と漏らす。
兵庫は義務化で促進
一方、同じく交通安全協会による自転車保険を15年4月に開始した兵庫県は、1年間で7万6千人が加入している。兵庫では同年、自転車の適正利用を促進する条例を施行し、自転車保険加入を義務化(罰則はなし)。これが加入促進を後押しする一因になったとみられる。
こうした条例制定は全国の自治体に広がっており、県内では相模原市が昨年12月に議会で可決。横浜市は策定した自転車総合計画の中で「加入推奨」を掲げているが、条例について「保険加入は大切なことだが現段階ではない」としている。これは「自転車事故による損害賠償保証制度を検討する」とする国の自転車活用推進法の方向性が出ていないためで、国の動向を見ながら取組を進める考えを示している。
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