新型コロナウイルスの影響による収入減や失業で生活に困窮する人が増加する中、横浜市内では自立支援や家賃給付を行う「生活困窮者自立支援制度」の申込みが昨年同期比で7倍超に増加している。申込み要件の緩和などが増加の一因と見られるが、市の担当者は「早い段階で困窮状況を把握し、必要であれば更なる支援につなげていきたい」と話す。
同制度は生活困窮者自立支援法に基づき、生活保護を受ける手前の支援として2015年に始まったもの。就労や住居確保の支援のほか、生計を立てるための様々なサポートが受けられる。市内では各区役所に窓口が設置されている。
同制度の市内申込件数は18年度が1842件、19年度1952件だったが、今年度は6月末までの3カ月間で3441件となり、昨年同期比で約7・6倍に上っている。申込件数増加の要因として市の担当者は、コロナ禍で収入減や失業して生活に困窮した人が増えたことに加え、国が同制度で家賃相当額を給付する「住居確保給付金」の申請要件を緩和したことを挙げる。
元々、住居確保給付金は離職により住居を失った人、または失う恐れがある人が就職活動を行うことを条件に支給していたが、コロナ禍を受けて今年4月に要件を緩和。コロナの影響で仕事が減った自営業やフリーランスの人も対象になり、相談全体の中でも住居確保給付金の希望が圧倒的に増えた。また、就労に関する相談も継続的に多く、市の担当者は「今回の急激な増加は生活に困っている人と早い段階でつながれた機会だと考えている。給付して終わりではなく、必要であれば就労や家計改善など更なる支援につなげることが大切だ」と話す。
「長期で幅広い支援を」
県内で生活困窮者の自立支援に携わる民間団体で構成する「かながわ生活困窮者自立支援ネットワーク」事務局の川崎あやさんは「コロナの影響で、これまで何とか生活してきた人々が持ちこたえられなくなってきている。問題は更に深刻になる。行政には長期で幅広い支援策を考えてもらいたい」と指摘している。
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