不安感や恐怖感を抱きがちな高齢者の看取りをVR(仮想現実)で体験することで理解を深めようという研修会が先月、泉区役所で行われた。
研修会には深川敦子区長をはじめ、高齢者支援に関わる区職員、区内の介護施設や公共施設、病院などの職員約30人が参加。サービス付き高齢者向け住宅を運営する株式会社シルバーウッドが、講師を務めた。
研修では最期を迎える場所について、「自宅」を希望する人が多いが実際には8割以上が「病院」で迎えている状況や、施設での看取り率は職員の体制よりも積極的な受け入れ姿勢があるかで差が出ていることなどを説明した。
その上で、積極的な姿勢のために必要なのは「死に向き合う覚悟」と「看取りを体験すること」とし、VRを活用。VRゴーグルを装着して救急医療における心肺蘇生の様子をリアルな映像で体験し、「過度な医療とはどこからだと思うか」をそれぞれが考えた。ある参加者は家族の立場で「薬で苦痛だけはとってあげたい」、また別の参加者は自らが搬送された場合を考え「家族に迷惑をかけたり、挿管されたりするのは辛いと思う」、施設職員の立場で考えた参加者は「本人と意思疎通ができなければ自分の考えを優先してしまいそう」と話した。
葛藤が自信へ
その後、本人の意向を尊重するための意向の聞き出し方などを学び、実際に施設で看取るまでの300日を記録したVRを体験すると、涙を流す参加者の姿もあった。
参加した認知症グループホームの女性管理者は、看取りについて施設で考え、入居者家族ともたびたび話し合っていると言い、「先日入居者を遠方の実家まで連れて行ったが、コロナ禍で葛藤があった。研修を受けて本人の意思を尊重した正しい選択だったと自信になった。今日は夜勤なので『みんなが取り組んでいることは間違っていない』と職員たちに伝えたい」と話していた。
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