連載 介護の「本質」考えてみませんか 第2回 介護の現状【1】
前回の、介護保険法の目的の中の「これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立して日常生活を営むこと」を覚えていらっしゃるでしょうか?
私は介護と福祉の仕事に従事して22年になります。その中で介護を必要としていない方々から、介護事業所は「大人の幼稚園」・「幼稚なことをやらされる場所」と言われてしまう現状を目の当たりにしてきました。
これらの言葉に「尊厳」はあるのでしょうか?病気や障がいから「日常生活に何らかの支援が必要」と判断され、各種の認定がなされます。しかし、今まで生活してきたその人の歴史や「一人の人」としての存在はなんら変わりません。
講演や研修、事業所改善に入らせていただいた時に介護従事者に問う内容があります。
「あなたの大切な人に介護が必要になったら、自分の事業所を使ってもらいたいですか?」
「もしあなたに介護が必要となったら、今の介護を受けたいですか?」
悲しいことに、「はい!」と答えが返ってくることはほぼありません。そんな状況で介護を提供をしている事業所が少なくない現状には、いつも驚かされます。
介護事業所の中には「怪我をしたら大変」という考えから、介護を受ける人にはなるべく動かないでもらい、「介護職が何でもやってあげることが仕事になっていしまっている」現状が多くあります。
この点について私は、本当は自分でできるのに「危ないから」と行動を止めてしまうことで、その人の「有する能力」には目が向いていないのではないかと思ってしまいます。
確かに、病気や障がいや加齢に伴う機能低下はあるかも知れません。しかし、介護が必要ない人、若い人でもケガはします。ケガのリスクを回避するために「動かない」ことが、かえって「機能低下」や「認知症の進行」につながってしまっているケースも多くあるのです。
例えば、普段は健康でバリバリ動けている人でも、風邪で高熱があって2〜3日床に臥せ、元気になってもまだフラフラするという経験はないでしょうか?このような状態を体調不良ではないのに常に作ってしまっているようなものです。
そして「幼稚」という言葉には、認知症への偏見があるのではないかと思います。要介護になったから「できない」「わからない」のでは?とされ、見本の無い塗り絵や折り紙や風船を使ったレクレーションを「集団で」やっていたりという現状が残っているように感じます。
そういった「やりたくない」と思うようなシーンが想像できることで、幼稚だと言われてしまうのだと思います。(もちろん、折り紙やレクなどを自ら楽しんでいるという方には問題ないのですが)。
次回に続く!!
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