連載 介護の「本質」考えてみませんか 第4回 介護の現状【3】
2000年より介護保険法が施行され、今年で23年の月日が経っています。この法律には以前書かせていただいた「目的」と同じくらい大切なことが記されています。
【(保険給付は、)要介護、要支援状態の軽減又は悪化の防止に資するように行われるとともに、医療との連携に十分に配慮して行われなければならない。】
ここで大切なのが「状態等の軽減又は悪化の防止」です。これには、新しい知識や望ましいかかわり方のために学び続ける必要がありますが、現状はと考えると言葉だけが先行しているだけの様に思います。
その一つに「認知症」があります。2004年12月24日に「痴呆」から「認知症」になりました。なぜこの言葉になったのか?辞書を引くと、「痴=おろか」「呆=ぼんやり」などと記されています。わかることも、できることもたくさんあるのに「本人を正しく理解しにくい状況」にしていたため「本人を正しく理解し、かかわっていく」ことが大切だとして「認知症」へ変わりました。
しかし、言葉は変わりましたが未だにかかわり方や考え方は変わっていない現状が多いです。これでは「軽減又は悪化の防止」には結びつきません。
そもそも、「認知症=病気」と認識されてしまっていることも「言葉だけ」が変わっている証拠だと思います。認知症は「脳の病気」です。その症状として記憶障害「等」が出てしまいます。新しいことを覚えにくくなってしまったり、不安や不快・恐怖を自分なりに解決しようとされますが、その解決の仕方が「認知症だから」と見られてしまっているのです。それが「問題行動や周辺症状」と以前は言われていました。
しかし、問題と決めつけてしまっているのは第三者なのです。問題を起こそうとして行動しているのであれば、それは認知症ではなく単なる「迷惑行為」でしかありません。
どのように脳内で情報処理されているのか、なぜその行動が出てしまっているのかを考えること。そして、病気の無い第三者の考えを押し付けないことがその方の「軽減又は悪化の防止」につながりますが、逆の場合は、早い周期で進行して行く、否、進行させてしまっていることになってしまいます。
まだまだ認知症は治らない、進行してしまう脳の病気です。もし、認知症になってしまい記憶が薄れて行ってしまっても、周囲の方々が声を掛け合い暮らし続けられる街を創造していく事が今後重要になる事は間違いありません。
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