東日本大震災で倒壊した寺院の廃材を活用し、(株)大川印刷(上矢部町)の大川哲郎社長が中心となって今春に製作したエレキギターの寄贈先がこのほど決まった。寄贈先では大川氏らがミニライブを開催したほか、2本はアメリカ人バンドに渡り、世界各国でその音色が披露される予定だ。
宮城県南三陸町の徳性寺は、東日本大震災の津波被害を受けて全壊。およそ500年前に切り出され、本堂を支えてきた柱も瓦礫となって放置されていた。
その惨状を目にした被災地支援活動を行う知人から「撤去は忍びない」と活用法について相談を受けた大川氏は、かつて生家を材料にアメリカ人ブルースシンガーがギターを作った例を参考にエレキギターの制作を提案。仕事のつながりを活かし、「徳性寺プロジェクト」として2年前から製作活動を行っていた。
完成した4本のうち、1本は徳性寺へ。大川氏は自身が所属する社会貢献活動を目的としたバンド「O’s」のメンバーと8月30日に現地を訪問し、供養後に約70人の檀家を前にそのギターを使ったミニライブを開催してオリジナル曲『柱の歌』を披露。被災した柱がギターとして再生したように、人間も生まれ変わることができるとの励ましのメッセージを込めた曲に、会場となったプレハブの本堂では涙する人も多く見られたという。
また、震災を風化させず後世へ伝えようという趣旨のもと、2本は『September』などのヒット曲をもち世界で活躍するバンド「アース・ウィンド&ファイアー」のギタリストへ寄贈。受け取ったグレッグ・ムーア氏は本紙の取材に対し、「音色を生み出すうえでギターのボディーは最重要部分。そこに寺の柱を使うとは前代未聞だが、このギターは驚くべきサウンドを奏でる。持ち主になれたことは光栄で、震災被害を受けた柱が生まれ変わったギターの魂を誇りに思う」とコメントした。
残る1本は今後オークションにかける予定。また大川氏は今後、柱の歌をCDとして販売し、売上の一部を被災地支援にあてようと検討中だという。
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