1月25日に戸塚区民文化センターで開催される寄席に出演する 柳家 小せんさん(本名・河野重信) 東京都在住 39歳
人を前向きにする笑い
○…「大学時代は仲間から『戸塚原住民』なんて呼ばれましてね」――。舞岡で生まれ育ち、高校は区外に通ったものの、大学で再び戸塚に戻った。住み慣れた故郷を離れて落語家として全国を駆け回る今も、声がかかれば区内の町内会やケアプラザで落語を披露している。「帰ってくるとホッとする」という地元での凱旋寄席。1月25日には戸塚区民文化センターで行われる寄席の出演を控える。
○…小学生のころ読んだ本がきっかけで落語に興味をもち、高校生になると学ランのまま足しげく寄席に通った。「おっさんが右や左に向いて話しているだけなのに、どんどん世界に引き込まれて」。テレビやラジオはもちろん、落語にまつわる本もあらかた読み尽くした青春時代。いよいよ将来の進路を決める時期を迎えても、落語の道を目指すことに一寸の迷いもなかった。しかし、実は学校では大人しく目立たない存在。自ら進んで話すタイプではなかったが、「周囲は落語家になったことに驚かないでしょうね。どこか奇妙な少年でしたから」。
○…弟子入り先は学生時代に好きで通いつめていた落語家。アルバイトで蓄えた貯金で借りた4畳半一間のアパートに住み、毎朝師匠宅に通っては身の回りの世話をしたり、かばん持ちを務めて、着物のたたみ方や出囃子の太鼓の叩き方を教わったり。休みは一切ない厳しい下積み生活。それでも、「毎日師匠と同じ空気を吸って、人付き合いや礼儀、生き方を学ぶ。しんどいと思いませんでした」。
○…「どうせ生きるなら、同じ現象も楽しい方向から見て、世の中渡った方がいいじゃないですか」。笑うことで自ずと生き方も前向きになる――。話術に対する飽くなき探求心の源は、そんな客への思いだ。「伝統芸能と格式張らず、見終えた後で話の内容を覚えていなくても、なんか楽しかったと思ってもらえるような」。目指すのは、肩の力を抜いて楽しめる落語だ。
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